2011-01-01から1年間の記事一覧

『恋するオスが進化する』

宮竹貴久 著 メディアファクトリー新書 ISBN978-4-8401-4276-2 メスとオスの関係や性的対立などについて書かれた本。 大体のところ昆虫などについて書かれた生き物雑学読本で、生き物雑学読本としてならまずまず、ただしそれ以上のものはない、という感じの…

『池田屋事件の研究』

中村武生 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-288131-9 池田屋事件に関して参加者など長州側から調べた本。 面白いことは面白いが、一言でいえば細かい。新書レベルではちょっとどうかというような細かな事例研究。事例研究でよければ、読んでみても、という本…

『謎とき平清盛』

本郷和人 著 文春新書 ISBN978-4-16-660835-5 平清盛に関連して書かれた試論的なエッセイ。 大河ドラマ便乗本としてではなく、この著者のエッセイが読みたければ、読んでみてもという本か。個人的には面白いと思った。 オーソドックスな伝記ではないので、単…

『DNA鑑定は“嘘”をつく 科学捜査員の事件ファイル』

山崎昭 著 主婦の友新書 ISBN978-4-07-280057-7 民間の科学鑑定会社の人が書いた業務系読み物。 大体のところ、ブログなんかにありがちな業務系のエッセイだと考えておけばいいと思う。タクシーの運転手が書いたりキャバクラ嬢が書いたりするような。 そうし…

『仏教、本当の教え インド、中国、日本の理解と誤解』

植木雅俊 著 中公新書 ISBN978-4-12-102135-9 著者による護教的なエッセイ。 比較文化論的な本かと思って買ったのだが、そういう話もあることはあるものの、現実には護教的なエッセイと考えておいた方がいい本だと思う。 エッセイはエッセイなので、合う人も…

『海軍良識派の研究 日本海軍のリーダーたち』

工藤美知尋 著 光人社NF文庫 ISBN978-4-7698-2710-8 帝国海軍の条約派に連なる人々に関して書かれた列伝風のエピソード集。 簡単にいえば、海軍善玉論の一変奏というところか。そうしたものでよければ、という本。 研究ではなくエピソード集だし、海軍善玉論…

『真田三代 幸綱・昌幸・信繁の史実に迫る』

平山優 著 PHP新書 ISBN978-4-569-80008-0 真田家の三代の武将について書かれた本。 内容的には、幸綱、昌幸だけなら普通の戦国読み物だが、信繁に関しては著者の思い入れが強すぎて、講談レベルと大差ない。 正直、ちょっとどうかというところか。幸綱、…

『こんなに変わった歴史教科書』

山本博文ほか 著 新潮文庫 ISBN978-4-10-116446-5 今の中学校の歴史教科書が昔のよりどれだけ変わったか、ということをネタに書かれた雑学本。 大体のところコンビニ文庫的な雑学本で、最新の知見を紹介したもの、というのではなく、雑学本として考えた方が…

『官僚制批判の論理と心理 デモクラシーの友と敵』

野口雅弘 著 中公新書 ISBN978-4-12-102128-1 官僚制に対しては敵対するのではなく、新自由主義と戦うため共に手を携えるべきだ、ということが主張された本。 もう少し細かく言うと、大体以下のような感じ。 近代官僚制に対する批判の大元には、画一された権…

『中国社会の見えない掟 潜規則とは何か』

加藤隆則 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-288123-4 現代中国社会について書かれた本。 内容としては、中国では公的な法よりも私的な関係の方が優先される、ということが書かれたもので、そうしたもので良ければ、という本か。 個人的には、現代の日本におい…

『ミシェル・フーコー』

(重田園江 著、ちくま新書)を120ページで挫折。 120ページにあるのは管理教育批判だが、この著者と私とでは見えているものが違うのだろうと分かった。疑問点二つ。 ・循環論法っぽい感じがするのだが、これは解説本だからそうなるのか、元もこんな感じなの…

『お買い物の経済心理学 何が買い手を動かすのか』

徳田賢二 著 ちくま新書 ISBN978-4-480-06625-1 売り手と買い手との間で繰り広げられるゲームについて値ごろ感を中軸に書かれた本。 経済心理学的なまとめ、といえばまとめだが、とっちらかっていて、あまりまとまっていない感じはした。それでも良ければ、…

『無国籍』

陳天璽 著 新潮文庫 ISBN978-4-10-136021-8 無国籍の人が無国籍に関して書いた半自伝的な読み物。 一冊の本として書かれているのでテーマ的な流れはあるが、大体の感じとしてはブログのより抜きみたいな読み物か。 発展前の中国へ行って貧しいながらの純朴さ…

『図解でわかる! ディズニー 感動のサービス』

小松田勝 著 中経の文庫 ISBN978-4-8061-4159-4 ディズニーランドのサービスについて、それを生み出す環境や教育面から描いた本。 基本的には、ディズニーランドのサービスに関する礼賛本で、そうしたもので良ければ、という本か。 礼賛本が読みたいならもっ…

『公務員試験のカラクリ』

大原瞠 著 光文社新書 ISBN978-4-334-03635-5 公務員試験に関して書かれた読み物。 よくある業界裏話系の読み物で、そうしたもので良ければ読んでみても、という本か。 ただし、内情暴露系とかカラクリとかいうほどの内情は、ないと思った。 全体に、特にど…

『葬式仏教の誕生 中世の仏教革命』

松尾剛次 著 平凡社新書 ISBN978-4-582-85600-2 中世において僧侶が葬送にかかわるようになったことが書かれた本。 あまり深くはないが、一通りの流れはあって、割と面白かった。民俗文化史的なことに興味があれば、読んでみてもよい本だと思う。 欠点として…

『日本近世の起源 戦国乱世から徳川の平和へ』

渡辺京二 著 洋泉社・新書y 渡辺京二傑作選1 ISBN978-4-86248-766-7 近世政権の成立が要請された国民的背景について論じられた本。 中世の自由とは、自力救済、弱肉強食の万人が万人にとって狼という自由であり、それでは戦乱の収まるべくすべはないから、…

『人はなぜだまされるのか 進化心理学が解き明かす「心」の不思議』

石川幹人 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257732-8 進化心理学に関する読み物。 内容は、人間が進化において取得した(かつては進化上有利だった)心理的傾向について、それに反するものには巧く適応できずだまされやすい、ということが書かれたもの…

『肝臓病 治る時代の基礎知識』

渡辺純夫 著 岩波新書 ISBN978-4-00-431321-2 肝臓の病気について書かれた本。 新書レベルの家庭向け医学の本としては、標準的なものだと思う。そうしたものでよければ、という本。 特に難しいところもなく、割と読みやすいのではないだろうか。 興味がある…

『ミラーニューロンの発見 「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学』

マルコ・イアコボーニ 著/塩原道緒 訳 ハヤカワ・ノンフィクション文庫 ISBN978-4-15-050374-1 ミラーニューロンに関して書かれた脳科学の本。 格別というほどではないが、脳科学の本としてはそれなりの本か。そうしたもので良ければ、というものだと思う。…

『教科書の中の宗教 この奇妙な実態』

藤原聖子 著 岩波新書 ISBN978-4-00-431313-7 倫理教科書における宗教の扱い方の偏向を指摘し、諸外国の例と比べた本。 私の受けた印象では、それなりには面白く、それなりには意義深い、という本か。そうしたもので良ければ、という本。 それなりを超えるも…

『下級武士の米日記 桑名・柏崎の仕事と暮らし』

加藤淳子 著 平凡社新書 ISBN978-4-582-85591-3 江戸後期の下級武士の日記を紹介した本。 ありがちといえばありがちな、特にどうということはない史料紹介本。好事家向けなので、それで良ければ、というところだろう。 読める人にはいろいろと発見もあって面…

『東電帝国 その失敗の本質』

志村嘉一郎 著 文春新書 ISBN978-4-16-660810-2 東京電力に関して書かれた本。 水に落ちた犬は叩け、の原発便乗本で、特に良くもないが悪くもなく。それでも良ければ、という本か。 便乗でなければ読みもしないだろうという本だが、それほど叩いてはいないの…

『ランド 世界を支配した研究所』

アレックス・アベラ 著/牧野洋 訳 文春文庫 ISBN978-4-16-765174-9 シンクタンクランドと、そこにかかわった人たちの歴史について書かれた本。 無駄にだらだらと長いよくある海外ノンフィクションで、テーマ的にはあまりすっきりとしないが、アメリカの現代…

『なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか 変わりゆく死刑基準と国民感情』

森炎 著 幻冬舎新書 ISBN978-4-344-98218-5 死刑に関して書かれた本。 前半は死刑判決が出た様々な事件や死刑判断の基準を簡略に紹介したもので、後半は死刑制度反対という本。主題的には、これから裁判員となる人は、無期懲役に仮釈放なしの注釈をつけると…

『水雷兵器入門 水面下に潜む恐るべき爆発力』

大内健二 著 光人社NF文庫 ISBN978-4-7698-2689-7 水雷兵器について書かれた本。 全体的には特にどうということのない入門読み物か。 のであるが多用されて文体がうっとうしいし、個人的には特別に面白いとは感じなかった。 悪いというほどでもないので、…

『将軍側近 柳沢吉保 いかにして悪名は作られたか』

福留真紀 著 新潮新書 ISBN978-4-10-610419-0 柳沢吉保に関して書かれた読み物。 テーマ的には、吉保は自分が新興の成り上がり者だと分かっていたから身を慎むように心がけていた、という話がメインだが、あまり深く論じられているわけでもないし、きっちり…

『戦国誕生 中世日本が終焉するとき』

渡邊大門 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-288106-7 十五世紀後半の室町幕府を中心とした政治状況を描いた本。 そうしたもの、といえばそうしたものだが、テーマ的にあまりすっきりせず、特によい本だとは思えなかった。 のである、を多用する文体は、読み取…

『九七重爆隊空戦記 サリーの防御はゼロだった』

久保義明 著 光人社NF文庫 ISBN978-4-7698-2159-5 陸軍の飛行将校だった著者が、太平洋戦争中の自らの体験と所属した飛行第十四戦隊のことを書いた戦記。 全体的には普通の戦記で、戦闘機ではなく重爆撃機に乗っていたというのは珍しいから、読んでみたけ…

『太陽系はここまでわかった』

リチャード・コーフィールド 著/水谷淳 訳 文春文庫 ISBN978-4-16-765173-2 太陽系にある様々な天体を紹介したエッセイ。 最新の知見をまとめたもの、といえばまとめたものだが、いろいろ雑多に過ぎるので、エッセイと考えておいた方がいい本だと思う。 後…