研究報告として面白い

『魚にも自分がわかる 動物認知研究の最先端』
幸田正典 著
ちくま新書
ISBN978-4-480-07432-4
動物行動の研究者が自分の研究を紹介した本。
基本的には面白く、興味があるならば読んでみても良い本だと思う。
違う解釈はありうるかもしれないが。
研究報告として面白い。
興味があるならば読んでみても良い本だろう。

以下メモ
・魚のような原始的な脳に新しい脳が加わっていって最後に大脳新皮質が発達した、というマクリーン仮説は、現在では修正を迫られている。
古生代の肉鰭類の化石でも、現生人類と同じく脳から12本の脳神経が出ており、脳のスタイルそのものに大きな変動はなかった。
・なわばりを持つある種の魚でも隣になわばりを持つ個体に対してはそこまで攻撃的でない。
合成画像に対しても魚は攻撃的になるが、隣のなわばりの個体の顔を張り付けた合成画像に対してはそこまで攻撃的でない。
魚は顔を見て個体を判別しているらしい。
・ホンソメワケベラに合成画像でなく鏡を見せると、最初は他の個体に対するように攻撃しようとするが、やがて慣れてくるとそれがなくなる。
鏡に慣れたホンソメワケベラに麻酔をかけ、ノドの部分に寄生虫にも似た茶色いマークを付けると、ホンソメワケベラは自分のノドを岩にこすりつけた。
寄生虫を取ろうとしたのであり、鏡に映った魚が自分であると認識していることになる。