『恋するオスが進化する』

宮竹貴久 著
メディアファクトリー新書
ISBN978-4-8401-4276-2
メスとオスの関係や性的対立などについて書かれた本。
大体のところ昆虫などについて書かれた生き物雑学読本で、生き物雑学読本としてならまずまず、ただしそれ以上のものはない、という感じの本か。
そうしたものでよければ読んでみてもというところ。
個人的には、もう少し何かあっても、とは思った。というか、性的対立について書かれたといっても、実際のところはいくつかの事例が紹介されているだけではある。それが生物学的にはすごい発見なのかもしれないけど、正直どうなんだろう。
生き物雑学読本としては、悪くはない。ただし、それ以上のものはない。
あくまで生き物雑学読本でよければ読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・最初の配偶子は同じ大きさだっただろう。配偶子の大きさに偏りが出ると、より栄養を持ったより大きな配偶子が生存競争で有利になり、この資源を持った配偶子にあやかろうとするパラサイトが生じた。これがオスである。つまりオスは寄生者として生まれた。
・資源を持っているメスは通常希少だから、メスを獲得するためにオスは競って争う。ただし、オスが子育てを行うなど資源となるように進化した種では、メスがオスを獲得するために競う。
・オオツノコクヌストモドキでは、ある種のオスは精巣の大きさを犠牲にして大きな顎を持つようになり、他のオスを排除する。しかし、このオスの子どものメスは、卵巣が小さくなり、生存競争で不利になる。このように同じ遺伝子座内で性的対立が起こることもある。