『お買い物の経済心理学 何が買い手を動かすのか』

徳田賢二 著
ちくま新書
ISBN978-4-480-06625-1
売り手と買い手との間で繰り広げられるゲームについて値ごろ感を中軸に書かれた本。
経済心理学的なまとめ、といえばまとめだが、とっちらかっていて、あまりまとまっていない感じはした。それでも良ければ、というところか。
ビジネス書ではないからなのかもしれないが、ビジネス書なら売り手向きに戦略を書くか買い手向きに騙されないことを書くかになるだろうわけで、誰に向けて何を書くのかが、巧く設定できていない印象を受けた。
後は、それなりのまとめといえばそれなりのまとめ。
特にというほどではないが、そうしたまとめで良ければ、という本だろう。

以下メモ。
・値ごろ感を感じる効用には、自分が払ってもいいと考える価格との差額である獲得効用と、市場価格との差である取引効用とがある。
セット価格にすると市場価格が分からなくなって、値ごろ感を上げやすい。
・テレビショッピングで在庫数を表示すると、みんなが買っているという安心感と、残り数が少ないという希少性とで買い手を説得することになる。
・通常の買い物のとき、買い手はじっくり時間をかけたりしないので、選択肢を多くすることはできない。二点では相場軸が定まらないので、三点にするのがよい。このとき、売りたい商品は真ん中の価格帯に置く。