『なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか 変わりゆく死刑基準と国民感情』

森炎 著
幻冬舎新書
ISBN978-4-344-98218-5
死刑に関して書かれた本。
前半は死刑判決が出た様々な事件や死刑判断の基準を簡略に紹介したもので、後半は死刑制度反対という本。主題的には、これから裁判員となる人は、無期懲役に仮釈放なしの注釈をつけると実務上終身刑と変わらなくなるので、死刑判決を出すのはやめましょう、ということが最終的にいいたかったことか。
そうしたものでよければ、という本。
強殺とは強盗殺人の略だと思うがなんで使い分けられもせずに両方使われているのか分からないとか、径庭とかさなきだにとかを使っている現代の本はほとんど見たことがない、とか、変なところもあるが、いろいろな事件の紹介としては、それなりだと思う。
ただし、死刑制度の是非については長い間あれこれ議論されているくらいだから、新書五十ページくらいの論であっさり死刑反対と決まるものではないだろう、というのは素人にも分かるわけで、全体的にそういうバイアスがかかってはいるのだろう。
死刑について考えてみたいというよりかは、元々反対だという人向きか。
それでもよければ、というところだろう。