2014-01-01から1年間の記事一覧

『戦国武将と連歌師 乱世のインテリジェンス』

綿抜豊昭 著 平凡社新書 ISBN978-4-582-85755-9 連歌に関して書かれた雑学本。 いろいろなエピソードが書かれていて楽しいが、そうたいしたことが書かれているわけでもない。それでよければ、という本か。 連歌自体がマイナーなので、一般向けとしては雑学本…

『移行化石の発見』

ブライアン・スウィーテク 著/野中香方子 訳 文春文庫 ISBN978-4-16-790239-1 中間種を中心に古生物学に関して書かれた本。 というかぶっちゃけ、アメリカにおける進化論の啓蒙書、というのが実態の本。明示されてはいないが創造論やID説が論難されている…

『川はどうしてできるのか 地形のミステリーツアーへようこそ』

藤岡換太郎 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257885-1 川についての雑学本。 雑学本以上のものではないが、雑学本としては普通の雑学本か。それでよければ、という本。 ブルーバックスに求める内容としてはやや軽いような気はする。 それでよければ、…

『昭 田中角栄と生きた女』

佐藤あつ子 著 講談社文庫 ISBN978-4-06-277883-1 越山会の女王、佐藤昭(改名して昭子)と田中角栄との間にできた娘が、母と自身の半生をつづった本。 つらつらだらだらと書かれた読み物的な本ではあるが、田中角栄のことをある程度知っているなら面白く読…

『「黄金のバンタム」を破った男』

百田尚樹 著 PHP文芸文庫 ISBN978-4-569-67916-7 ファイティング原田の世界タイトル挑戦を中心に描いた読み物。 かなり保守臭いが、それなりのスポーツ読み物、といった本か。そうしたものでよければ、というところ。 小説家が書いているのですんなりとは…

『ポアンカレ予想』

ドナル・オシア 著/糸川洋 訳 新潮文庫 ISBN978-4-10-218591-9 ポアンカレ予想をその歴史を中心に描いた本。 ポアンカレ予想が出されるまでの幾何学の歴史と、それが解決されるまでの流れが書かれた読み物。よくいえば、読み物ではある。それでよければ、と…

『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門』

岩瀬昇 著 文春新書 ISBN978-4-16-660991-8 エネルギーに関して書かれた本。 タイトルになっている埋蔵量の決め方も含め、内容的にあまりたいしたことは書かれていないような気はするが、一次エネルギーについてまとまっているといえばまとまっており、そう…

『ずる 嘘とごまかしの行動経済学』

ダン・アリエリー 著/櫻井祐子 訳 ハヤカワ文庫NF ISBN978-4-15-050415-1 不正行為に関して書かれた本。 いろいろな実験結果などが紹介された行動経済学の本で、そうしたものでよければ、という本か。 ただし、不正行為のつじつま合わせを行う補正項がある…

『信長と将軍義昭 連携から追放、包囲網へ』

谷口克広 著 中公新書 ISBN978-4-12-102278-3 織田信長と足利義昭との関係を追った本。 本当に関係の変化を追っただけの地味な本なので、好事家向けか。それでよければ、という本。 あまり特別な内容もエキセントリックな主張もないが、中庸で穏当な本ではあ…

『スターリン 「非道の独裁者」の実像』

横手慎二 著 中公新書 ISBN978-4-12-102274-5 スターリンの評伝。 ただし、単純な評伝というよりは、ロシア国民の内のいくぶんかが抱いている見方、スターリンが強権的な手法と莫大な犠牲の上に推し進めた工業化によって、ソ連は初めてヒトラーに勝利するこ…

『リスクにあなたは騙される』

ダン・ガードナー 著/田淵健太 訳 ハヤカワ文庫NF ISBN978-4-15-050413-7 心理学の知見を元に、人間におけるリスクの捉え方について述べた本。 要するに、草むらが動いているのを見たらそこに腹をすかせたトラがいるのを確認してから逃げても遅いので、人…

『「反日」中国の文明史』

平野聡 著 ちくま新書 ISBN978-4-480-06784-5 習近平体制が唱える「中国夢」の新華夷秩序としての来歴を述べた本。 読み物としては一つの読み物。ただ、やや焦点がぼやけているきらいはある。 例えばマルクス主義の説明とか書かれているが、そこまで必要だっ…

『誰も語らなかった“日米核密約”の正体 安部晋三・岸信介をつなぐ日本外交の底流』

河内孝 著 角川oneテーマ21 ISBN978-4-04-101490-5 1960年の安保改定期を中心に、日米外交において米軍の核持ち込みがどのように扱われてきたかを探った本。 大体において、日米間にはっきりとした密約はなかったという著者の立場から外交の過程を素描した本…

『シベリヤ抑留記 凍土に斃れた戦友を悼むレクイエム』

山本喜代四 著 光人社NF文庫 ISBN978-4-7698-2840-2 徴兵前の軍属時代も含む著者の従軍記。 一つの従軍記ではあろうが、あまり上質とはいえない。他に何も読むものがなくなった、という人向けか。 抑留が大変だったという描写はあまりないし、誰かが死んだ…

『詐欺の帝王』

溝口敦 著 文春新書 ISBN978-4-16-660961-1 オレオレ詐欺の元締に取材して書かれた本。 フェイクも入っているだろうしどこまでノンフィクションと捉えていいのかはよく分からないが、まあ実話風ノンフィクションか。それでよければ、というもの。 そうした成…

『知性を鍛える 大学の教養数学 Σ、lim、dy/dx、∫ydx編』

佐藤恒雄 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257870-7 極限や微積分に関して書かれた数学の本。 読み物というよりは、ほぼ勉強。勉強でよければ、という本か。 読みやすいとか分かりやすいとか基礎から書いてあるというようなことは期待できない。 残念…

『おいしい穀物の科学 コメ、ムギ、トウモロコシからソバ、雑穀まで』

井上直人 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257869-1 穀物に関していろいろ書かれた本。 雑学読み物といえば雑学読み物だが、読み物といえるほど簡単ではない。 気軽には読めない雑学読み物。という本もどうなんだろう。内容的には雑学読み物以上のもの…

『記憶力の正体 人はなぜ忘れるのか?』

高橋雅延 著 ちくま新書 ISBN978-4-480-06780-7 記憶に関して書かれた本。 おおよそ、記憶心理学についての入門読み物、といったところで、個人的にはたいした内容はないと思ったが、入門読み物でよければこれもあり、というものか。興味があれば読んでみて…

『幕末維新の城 権威の象徴か、実戦の要塞か』

一坂太郎 著 中公新書 ISBN978-4-12-102268-4 幕末維新期の城砦に関する四方山話を集めた読み物。 比較的まとまってはいるので、特別な内容はないがそれなりの読み物か。読みたいのなら読んでみてもというところ。 おおよそ可もなく不可もなく。読み捨てる以…

『生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像』

中沢弘基 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-288262-0 地球上での生命誕生に関する著者の説を解説した本。 自説を説いたものだけにややエキセントリックでハイリスクだが、そうしたものでよければ、という本か。 生命誕生に関する最新の知見とか諸説のまとめと…

『貨幣という謎 金と日銀券とビットコイン』

西部忠 著 NHK出版新書 ISBN978-4-14-088435-5 貨幣に関して書かれた本。 主な内容としては、市場には貨幣が不可欠であり、貨幣とバブルは、それが明日も流通する、明日も値上がりするという人々の幻想に依拠する点で共通なので、市場にはバブルが発生す…

『捕食者なき世界』

ウィリアム・ソウルゼンバーグ 著/野中香方子 訳 文春文庫 ISBN978-4-16-790112-7 トッププレデターが中間捕食者を抑制することで生物の多様性が保たれている、ということが書かれた本。 内容的にはそうたいしたものでなく、どこが特にいいということもない…

『数学はなぜ生まれたのか?』

柳谷晃 著 文春新書 ISBN978-4-16-660965-9 方程式や微分積分法などの数学の考え方がどういう状況の下で生まれてきたのかについて書かれた数学エッセイ。 こういう教師は駄目だとかこういう教育方が駄目だとかの話がかなりうざいが、その点を措けばそれなり…

『「ストーカー」は何を考えているか』

小早川明子 著 新潮新書 ISBN978-4-10-610567-8 ストーカー対策のカウンセラーがストーカーについて書いた本。 大体のところストーカーについてのエッセイ読み物といった感じで、ストーカーの心理について書かれていて興味深くはあった。興味があるならば読…

『神と肉 日本の動物供犠』

原田信男 著 平凡社新書 ISBN978-4-582-85730-6 日本の動物供犠について書かれた本。 基本的に、○○に××という事例が、ということの書かれた民俗学的な本で、日本に動物供犠があった、というだけでよければ、それなりの本か。そうしたものでよければ、読んで…

『宇宙最大の爆発天体 ガンマ線バースト どこから来るのか、なぜ起こるのか』

村上敏夫 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257857-8 ガンマ線バーストについて書かれた本。 ブルーバックスとしてはほぼ標準クラスの、ガンマ線バーストに関する一般向けの総合概説書だと思う。興味があるならば、読んでみてもいい本。 全体の記述はガ…

『ヤクザ式 相手を制す最強の「怒り方」』

向谷匡史 著 光文社新書 ISBN978-4-334-03788-8 怒り方に関してあれこれと書かれたエッセイ。 自己啓発系読み捨てエッセイで、そういうのでよければ、という本か。 読みやすくそれなりに面白いが、やっぱり特別な内容もない、というところ。 特にということ…

『ゾルゲ事件 覆された神話』

加藤哲郎 著 平凡社新書 ISBN978-4-582-85725-2 ゾルゲ事件に関していくつかのことが書かれた本。 基本的にはゾルゲ事件の通俗論に対する異議申し立ての書で、入門や通論ではなく個別の細かいケーススタディ。 ゾルゲ事件やコミンテルンや日本共産党の歴史に…

『なぜこの店で買ってしまうのか ショッピングの科学』

パコ・アンダーヒル 著/鈴木主税・福井昌子 訳 ハヤカワ文庫NF ISBN978-4-15-050406-9 小売に関して、店の設計や商品の配置などについてあれこれと書かれたコラム集。 具体例もあってそれなりに面白いが、その具体例が北米向けだったりするので、アメリカ…

『ある幕臣の戊辰戦争 剣士伊庭八郎の生涯』

中村彰彦 著 中公新書 ISBN978-4-12-102256-1 伊庭八郎について書かれた本。 概ね伝記といえば伝記だが、史料の制約なのかあまりいい本だとは思わなかった。 そもそも伊庭八郎がどういう活躍をしたのかよく分からないし、少ない史料から伊庭の行動を考察した…