2012-01-01から1年間の記事一覧

『大便通 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌』

辨野義己 著 幻冬舎新書 ISBN978-4-344-98291-8 便や腸内細菌に関して書かれた本。 ただし大体のところ、乳酸菌飲料が、ビフィズス菌入りヨーグルトが、という本でしかない。 よく分からないが乳酸菌飲料によって総死亡率が顕著に低下するなら、メーカーはそ…

『物質のすべては光 現代物理学が明かす、力と質量の起源』

フランク・ウィルチェック 著/吉田三知世 訳 ハヤカワ文庫NF ISBN978-4-15-050384-0 現代素粒子物理学に関して書かれた本。 エッセイというわけでもないが、一般向け概説ともまた違うので、解説を期待すると間違う。現代素粒子物理学をネタにがやがやとや…

『満州国皇帝の秘録 ラストエンペラーと「厳秘会見録」の謎』

中田整一 著 文春文庫 ISBN978-4-16-783832-4 一つの史料を紹介したノンフィクション読み物。 歴史書というよりはノンフィクション読み物で、満州国に思い入れがあって、新史料ではこうなっているんだ、と発見して驚ける人には、面白いのかもしれない。そう…

『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』

中山淳雄 著 PHPビジネス新書 ISBN978-4-569-80733-1 コンプガチャを抜きにして、ソーシャルゲームをマンセーした本。 でもコンプガチャでしょう、は禁止。そういう突っ込みを入れない人向けの本。 著者は、ソーシャルゲーム業界は「人を集め」「熱狂させ…

『飯田のミクロ 新しい経済学の教科書?』

飯田泰之 著 光文社新書 ISBN978-4-334-03709-3 ミクロ経済学の入門書。 割とオーソドックスで、光文社新書らしいといえばらしい入門書ではある。そうしたものでよければ、という本か。 ただ、あまり簡単ではないような気がする。 基礎からやり直したい人向…

『ゼロからわかる 経済学の思考法』

小島寛之 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-288178-4 著者流のミクロ経済学入門。 経済学の思考法がどうのとか経済学がこうのとかいう話題はまえがきとあとがきにしかないので、完全にミクロ経済学の入門書と考えた方がいい。それでよければ、という本か。 完…

『複素数とはなにか 虚数の誕生からオイラーの公式まで』

示野信一 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257788-5 複素数に関して書かれた本。 かなり難しく、読み物といえるかどうか微妙なところだとは思うが、それなりに面白かったので、そうしたものでよければ読んでみても、という本か。 絶対に分からない、と…

『科学は大災害を予測できるか』

フロリン・ディアク 著/村井章子 訳 文春文庫 ISBN978-4-16-781210-2 様々な災害について、科学がどこまでその予測に迫ってきたかが書かれた本。 現状をやや楽観的な見地からおおまかにまとめた本で、それ以上のものはない。そうしたものでよければ、という…

『昭和戦前期の政党政治 二大政党制はなぜ挫折したのか』

筒井清忠 著 ちくま新書 ISBN978-4-480-06687-9 加藤高明から犬養毅まで、昭和戦前期の日本の政党内閣の流れを追った本。 政党政治が何故挫折したかという問題設定から書かれたものではあるが、ほぼ流れを追った通史と考えていい。そうしたものでよければ、…

『「超」入門 微分積分 学校では教えてくれない「考え方のコツ」』

神永正博 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257786-1 微積分についての入門書。 超入門と謳っているだけにやさしくはあるのだろうが、別にありがちな入門書だと思う。そうしたものでよければ、という本。 最後の辺りは何をやっているのかよく分からん、…

『犯罪者はどこに目をつけているか』

清永賢二・清永奈穂 著 新潮新書 ISBN978-4-10-610486-2 犯罪予防に関して書かれた本。 内容的には要するに、近隣の人と一緒に防犯意識を高めろ、というもので、そうしたものでよければ、という本か。 タイトルになっているような犯罪者がどこを見ているかと…

『その科学が成功を決める』

リチャード・ワイズマン 著/木村博江 訳 文春文庫 ISBN978-4-16-765184-8 自己啓発系の雑学本。 一応、様々な自己啓発系の言説のうち科学論文になって有効性が認められているものや科学論文で有効性が否定されているものをいくつか挙げたものだが、あまりま…

『「普天間」交渉秘録』

守屋武昌 著 新潮文庫 ISBN978-4-10-136661-6 元防衛事務次官の回想録。 普天間基地の移設問題が一応の中心ではあるが、本としては、普天間の話というより事務次官の回想録であり、それよりも自己弁護の本だと考えておいた方がいい。そうしたものでよければ…

『足利義満 公武に君臨した室町将軍』

小川剛生 著 中公新書 ISBN978-4-12-102179-3 足利義満に関して書かれた本。 評伝というよりは、足利義満に関していくつかのことを論じたもの、と考えておいた方がよい本か。そうしたものでよければ、という本。 全体的なまとまりはあまりなく、足利義満につ…

『はじめてのゲーム理論 2つのキーワードで本質がわかる』

川越敏司 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257782-3 ゲーム理論についての入門教科書。 初学者向けに最初の部分からいろいろ書かれてはいるが、簡単ではなく、あれこれの話題に軽く触れた程度、という感じの本。そうしたものでよければ、という本か。 …

『国語が子どもをダメにする』

福嶋隆史 著 中公新書ラクレ ISBN978-4-12-150426-5 国語教育のあり方や入試問題を批判した本。 最終的な主張としては、国語とは論理的思考力を育むものであり、そのための言語技術である「言い換える」「比べる」「(論旨を)たどる」ことを教え、試験では…

『たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く』

石村博子 著 角川文庫 ISBN978-4-04-100373-2 ビクトル古賀の満州からの引き上げを描いたノンフィクション。 大体のところ、それなりの題材のそれなりのノンフィクション、という本か。そうしたものでよければ読んでみても、というところ。 悪いということも…

『残留日本兵 アジアに生きた一万人の戦後』

林英一 著 中公新書 ISBN978-4-12-102175-5 第二次世界大戦後のアジア各地に残った残留日本兵について書かれた本。 いろいろな事例をかき集めた断片的、総花的な本で、そういうものでよければ、という本か。 特にというものはないと思う。 序章のタイトルが…

『植物はすごい 生き残りをかけたしくみと工夫』

田中修 著 中公新書 ISBN978-4-12-102174-8 植物雑学本。 植物が生き残るためにどんな機能や仕組みを持っているか、を中心に書かれたものだが、一言でいえば、雑学本としかいいようがない。雑学本でよければ、という本か。 特にということはないが、悪くもな…

『重機関銃分隊長のルソン戦記 戦場を駆けた一兵士の青春』

川崎恵一郎 著 光人社NF文庫 ISBN978-4-7698-2746-7 著者による従軍記。 特別ではないが悪くはない従軍記で、従軍記としては可もなく不可もなくといったところか。そうしたものでよければ、読んでみても、という本。 四年近い軍隊生活を一冊にまとめている…

『化石の分子生物学 生命進化の謎を解く』

更科功 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-288166-1 古生物の分子生物学に関していくつかのことが書かれた本。 読み物といえば一つの読み物だが、成功事例はあまり多くなく、個人的にはそれほど面白いとは思わなかった。 常温核融合について書かれた本なんかも…

『ツタンカーメン 少年王の謎』

河合望 著 集英社新書 ISBN978-4-08-720649-4 ツタンカーメンについて書かれた本。 ハワード・カーターによる王墓発掘から現在この王について分かっていることまで一通りまとめたもので、あまり分かりやすくはないと思うが新書らしいまとめではあり、そうし…

『功利主義入門 はじめての倫理学』

児玉聡 著 ちくま新書 ISBN978-4-480-06671-8 功利主義を紹介した本。 入門書というよりは紹介した本だが、いろいろ考えられていて思弁的なので面白くはあった。こういうものを読もうという人は思弁的なものが好きだろうし、興味があれば読んでみてもよい本…

『ウナギ 大回遊の謎』

塚本勝巳 著 PHPサイエンス・ワールド新書 ISBN978-4-569-79670-3 ニホンウナギの産卵場を見つけるまでの足跡を語った本。 一応ウナギについていろいろと書かれた生物読本だが、中軸には産卵場の特定という筋があって、面白い。興味があるなら読んでみて…

『カブトムシとクワガタの最新科学』

本郷儀人 著 メディアファクトリー新書 ISBN978-4-8401-4619-7 カブトやクワガタについて書かれた昆虫読み物。 研究エッセイ寄りの昆虫読み物で、欠点はあまりなく、悪くはないという感じの本か。興味があれば、読んでみてもというところ。 ただ、カブトムシ…

『ウオッゼ島 籠城六百日 孤島で生き抜いた将兵たちの記録』

土屋太郎 著 光人社NF文庫 ISBN978-4-7698-2738-2 太平洋戦争中に前線の後方であるマーシャル諸島ウオッゼ島に取り残された人が書いた報告書。 戦記ではなく極めて淡々とした報告書で、副官という立場の人が籠城生活のことをあれこれと箇条書きにしただけ…

『HSPと分子シャペロン 生命を守る脅威のタンパク質』

水島徹 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257774-8 HSPについて書かれた本。 薬剤開発にありがちな、この物質はこんなにスゲーという本だが、こういうのはしょうがないのだろうか。興味があれば、読んでみても、という本。 夢の新薬とか騒がれても、…

『古代オリエントの宗教』

青木健 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-288159-3 二世紀から十三世紀ごろのメソポタミアやイラン高原の宗教について書かれた本。 個人的にはあまりよい本だとは思わなかったが、一つのまとめといえばまとめなので、それでよければ読んでみても、という本か。…

『金正恩が消える日』

重村智計 著 朝日新書 ISBN978-4-02-273100-5 北朝鮮の現状に関して書かれた本。 昔のカッパブックスとかによくあった時事報道的な本で、そうしたものでよければ、という本か。 私はこういうのが大好きだが、特別よくはないかもしれない。時事報道なので、一…

『科学哲学講義』

森田邦久 著 ちくま新書 ISBN978-4-480-06670-1 科学哲学に関する入門読み物。 よくいえば、科学は体系的な統合モデルの中で実証されてきたものだ、というような主張があるのかもしれないが、入門読み物と考えておいた方がいいと思う。入門読み物でよければ…