2011-01-01から1年間の記事一覧

『ポアンカレ予想 世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者』

ジョージ・G・スピーロ 著/永瀬輝男・志摩亜希子 監修/鍛原多惠子・坂井星之・塩原通緒・松井信彦 訳 ハヤカワ文庫NF ISBN978-4-15-050373-4 ポアンカレ予想の提出とその証明を巡る数学者たちの様々なエピソードが描かれた本。 ポアンカレ予想そのもの…

『ルポ 餓死現場で生きる』

石井光太 著 ちくま新書 ISBN978-4-480-06603-9 世界の貧困地域で生きる子どもたちを襲う問題について描いた読み物。 貧困問題全体というよりは、子どもに焦点を当てたもの。 あまりイデオロギッシュではないので、楽しく、読めてはいけない本だが、興味深く…

挫折

『ダンゴムシに心はあるのか』(森山徹 著)を第一章の途中で挫折した。 もともと、「と」っぽいのだが、 学会で審査の上公表 →当該の学会がどうかは知らないが、学会の審査なんてほとんど形式的なものだろう 心が脳の特定部位であるならば、その機能が失わ…

『谷干城 憂国の明治人』

小林和幸 著 中公新書 ISBN978-4-12-102103-8 谷干城についての小伝。 多分谷贔屓ではあるのだろうが、新書レベルの伝記としては普通の伝記か。興味があるのなら読んでみても、という本。 おそらくは過度に谷贔屓であるだろうこと、谷の生涯の中心となる明治…

『モーツァルトを「造った」男 ケッヘルと同時代のウィーン』

小宮正安 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-288096-1 ケッヘルと彼が生きた時代に関して書かれた本。 マイナーな時代のマイナーな人物に焦点を当ててみました、という本で、それなりの本だとは思うが、どこまでもマイナー。 特別でもないが悪くもなく。そうし…

『生態系は誰のため?』

花里孝幸 著 ちくまプリマー新書 ISBN978-4-480-68857-6 生態学に関する入門読み物。 モチーフ的には、生態学の基本的な考え方を紹介しながら、世にはびこる通俗的な環境問題対策を批判したもの。入門読み物で良ければ、悪くはない本だと思う。 基本的な考え…

『空想法律読本』

盛田栄一 著 メディアファクトリー新書 ISBN978-4-8401-3838-3 60〜70年代の特撮番組をネタに、それらのドラマで起こった事件が法律的に見てどのように解釈されるかを語った本。 要するにネタ読み物。 ネタ読み物としては面白いが、ネタ読み物以上のものはあ…

『不道徳な経済学 擁護できないものを擁護する』

橘玲 訳・文/ウォルター・ブロック 著 講談社+α文庫 ISBN978-4-06-281414-0 無政府主義的なリバタリアンによる自由原理主義、市場原理主義鼓舞の本。 要するにプロパガンダ。 極論だし、現実の自由市場は著者が説くほどには巧く動かないと思うが、プロパガ…

『潜入ルポ ヤクザの修羅場』

鈴木智彦 著 文春新書 ISBN978-4-16-660793-8 暴力団の取材を長年行ってきた著者によるエッセイ。 全体を通してのまとまりはあまりなく、エッセイ集といっても章ごとに別の話になるので、中篇集、といった感じの本だろうか。 エッセイなので、エッセイで良け…

『「余剰次元」と逆二乗則の破れ 我々の世界は本当に三次元か?』

村田次郎 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257716-8 重力が逆二乗則に従うかどうかに関して書かれた本。 割と初学者向けに、著者らが行っている重力実験の意義を説いたもので、あまり深い展開があるのでも深い理解が得られるものでもないと思うが、ざ…

『量子もつれとは何か 「不確定性原理」と複数の量子を扱う量子力学』

古澤明 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257715-1 著者が行っている量子光学実験に関して書かれた本。 基本的に、量子力学について一通り知っている人を対象に、著者らが行っている実験、研究の基礎を紹介したもの、と考えるのが正しいと思う。量子エ…

『生命は、宇宙のどこで生まれたのか』

福江翼 著 祥伝社新書 ISBN978-4-396-11229-5 宇宙生物学に関する一般初心者向けの入門書。 あまりに初心者向けすぎて、私には合わなかった。 例えば、はやぶさについての別段珍しくもない話も書かれているが、実際、はやぶさを知らないか名前くらいしか聞い…

『生命はなぜ生まれたのか 地球生物の起源の謎に迫る』

高井研 著 幻冬舎新書 ISBN978-4-344-98198-0 地球生命の誕生について書かれた本。 基本的に、著者が表に出すぎて、うざい。 それに耐えられる人、その方が面白いという人向けの本か。人を選ぶ本だと思う。 私としては、この分野についての最新の動向を知る…

『財界の正体』

川北隆雄 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-288087-9 財界について書かれた総花的な解説書。 全体的に、ややまとまりなくあれこれ書かれており、最初の一冊としてならこんなものかもしれないが、それ以上のものではない、という本か。 財界の力を過大に評価す…

『巨大翼竜は飛べたのか スケールと行動の動物学』

佐藤克文 著 平凡社新書 ISBN978-4-582-85568-5 生物のスケーリングに関する話。 簡単にいうならば、生物の形が相似形ならば生物の能力も大きさに比例したものになる、空を飛ぶには体重が軽い方が良く羽ばたく力は体重が重い方が強いが、羽ばたく力は体重が…

『働かないアリに意義がある 社会性昆虫の最新知見に学ぶ、集団と個の快適な関係』

長谷川英祐 著 メディアファクトリー新書 ISBN978-4-8401-3661-7 ハチ目を中心に社会性生物の生態を進化生物学的に描いたエッセイ。 エッセイなので読みやすいし、あれこれ書かれていて、楽しめる本だと思う。興味があるならば、お薦めできる本。 エッセイで…

『絶海の島ニコバル諸島戦記 インド洋最前線の孤島守備隊物語』

前田酉一 著 光人社NF文庫 ISBN978-4-7698-2669-9 太平洋戦争に従軍した著者による従軍記。 著者はまったく戦闘を経験していないので、戦記というよりは従軍記で、内容的には、内地での訓練と南の島で飢えに苦しんだことがメインという本。 この手の戦記と…

『はじめての政治哲学 「正しさ」をめぐる23の問い』

小川仁志 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-288084-8 政治哲学に関する簡略な教科書。 あまりにも簡略すぎてほとんどよく分からないと思うが、こんなような議論がある、ということを知る程度でよければ、こんなもの、とはいいうるのだろうか。 初心者相手とは…

『伊達政宗の密使 慶長遣欧使節団の隠された使命』

大泉光一 著 洋泉社・歴史新書y ISBN978-4-86248-671-4 伊達政宗が派遣した支倉常長ら遣欧使節団に関して書かれた本。 基本的に、日本語が下手、もしくは論理的思考ができていない、私の受けた印象では多分その両方のために、あまり読める本にはなっていな…

『江戸の女子力 大奥猛女列伝』

氏家幹人 著 新潮文庫 ISBN978-4-10-134091-3 将軍や大名の奥女中に関して書かれた江戸読み物。 内容的には、彼女たちがいかにしたたかに生きていたか、ということを描いたもので、おおよそこの著者らしい江戸読み物だろう。 特別ではないが悪くはない本。あ…

『人生に失敗する18の錯覚 行動経済学から学ぶ想像力の正しい使い方』

加藤英明・岡田克彦 著 講談社+α新書 ISBN978-4-06-272688-7 行動経済学に関して書かれたエッセイ。 普通によくあるタイプのありがちなエッセイなので、中身は想定しやすいだろう。 こういうのが好きな人、あるいは行動経済学に関するエッセイをまだ読んだ…