雑学エッセイ

『誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』セス・スティーヴンズ=ダヴィッドウィッツ 著/酒井泰介 訳光文社未来ライブラリーISBN978-4-334-77055-6ビッグデータ分析で分かったことなどについてあれこれ書かれた雑学エッセイ。雑学…

それなりに興味深いが

『古代中国の24時間 秦漢時代の衣食住から性愛まで』柿沼陽平 著中公新書ISBN978-4-12-102669-9古代中国、秦漢時代の日常生活を描写しようと試みた本。基本的に、興味深くはあるが、日常生活を紹介しただけなので、面白さは自分で見つけるタイプの本だと思う…

ルポルタージュ

『インド残酷物語 世界一たくましい民』池亀綾 著集英社新書ISBN978-4-08-721191-7基本的には、カースト差別などに苦しんでいる著者の知り合いのインド人たちに関するルポ。割と70年くらいの左派ルポルタージュという感じの本で、そういうので良ければ、とい…

スポーツノンフィクション

『イップス 魔病を乗り越えたアスリートたち』澤宮優 著KADOKAWA新書ISBN978-4-04-082397-3イップスに罹った選手たちに取材したスポーツノンフィクション。全体的にはありがちなスポーツノンフィクションであり、それで良ければ、という本か。ありがちといっ…

研究報告として面白い

『魚にも自分がわかる 動物認知研究の最先端』幸田正典 著ちくま新書ISBN978-4-480-07432-4動物行動の研究者が自分の研究を紹介した本。基本的には面白く、興味があるならば読んでみても良い本だと思う。違う解釈はありうるかもしれないが。研究報告として面…

細かいのにまとめ

『三好一族 戦国最初の「天下人」』天野忠幸 著中公新書ISBN978-4-12-102665-1三好氏について書かれた本。個別研究というよりは新書レベルの簡略なまとめで、三好というマイナーな氏族を扱っている割にそれはどうなのというチグハグさはややあるが、戦国ガチ…

カウンターカルチャー批判

『反逆の神話〔新版〕 「反体制」はカネになる』ジョセフ・ヒース&アンドルー・ポター 著/栗原百代 訳ハヤカワ文庫NFISBN978-4-15-050580-6カウンターカルチャーを批判した本。内容的には、カウンターカルチャーはフロイト的にルールを押し付けであるとみ…

入門

『「不確実性」超入門』田渕直也 著日経ビジネス人文庫ISBN978-4-532-24010-3不確実性に関して書かれた入門ビジネス書。本当に入門なので、入門で良ければ、という本か。入門だけにたいしたことは書かれていないが、入門書じゃないとして何が書けるのかとい…

通史

『荘園 墾田永年私財法から応仁の乱まで』伊藤俊一 著中公新書ISBN978-4-12-102662-0日本における荘園の歴史をまとめた本。新書サイズのコンパクトなまとめで、そういうので良ければ、という本か。初、中級者が最初にとっかかりとして読むような感じのもの。…

保守的社会科学方法論

『経済社会の学び方 健全な懐疑の目を養う』猪木武徳 著中公新書ISBN978-4-12-102659-0保守的な立場から書かれた社会科学方法論的なエッセイ。そうしたもので良ければ、という本か。健全な懐疑の目を養う、という副題のように、健全な懐疑の目を持つべき事例…

研究半生記

『イルカと心は通じるか 海獣学者の孤軍奮闘記』村山司 著新潮新書ISBN978-4-10-610923-2水族館で飼育されているイルカなどを使って認知機能の実験を行っている著者が自らの研究半生を綴った本。研究者の半生としては、それなりに面白いことをやっておりそれ…

ペンローズの量子脳理論的な

『知ってるつもり 無知の科学』スティーブン・スローマン&フィリップ・ファーンバーグ 著/土方奈美 訳ハヤカワ文庫NFISBN978-4-15-050578-3ヒトの知性のありようについて書かれた本。なんというか、専門家が余技で書いたようなというか、ペンローズの量子…

動物行動学的な読み物

『本能 遺伝子に刻まれた驚異の知恵』小原嘉明 著中公新書ISBN978-4-121-102656-9様々な動物の本能的な行動について書かれた動物行動学読み物。本能についてはおいておいて、そういう動物行動学の読み物で良ければ、という本か。本能そのものについての議論…

視界は広い

『刀伊の入寇 平安時代、最大の対外危機』関幸彦 著中公新書ISBN978-4-12-102655-2刀伊の入寇について書かれた本。事件を、東アジア史や、中世武家政権へとつながる日本史全体の流れの中で捉えようとしたもので、それはそれで興味深いので、そうしたもので良…

ちょっとまとまりはない感じ

『「性」の進化論講義 生物史を変えたオスとメスの謎』更科功 著PHP新書ISBN978-4-569-85038-2進化生物学的に見た性の話題をいくつか書いた本。ややテーマ的なまとまりには欠けるが、一般に受けのよさそうなその辺の話題をいくつかちりばめた一般向け生物…

数学読み物

『数学とはどんな学問か? 数学嫌いのための数学入門』津田一郎 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-524681-8数学読み物。数学嫌いを治す、という動機はあるのだろうが、ただの数学読み物だと思う。それで良ければ、という本か。特に、というほどのものはな…

ルポ

『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』鈴木智彦 著小学館文庫ISBN978-4-09-407052-1密漁について取材したルポ。ルポとしては面白い、ただ、暴力団とのかかわりについては、それ以上の構造的な分析などはない、という本か。ルポで良け…

経緯を知るだけなら

『中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢』鈴木由美 著中公新書ISBN978-4-12-102653-8中先代の乱について書かれた本。前後の経緯を含めて、乱の紹介だけなら、それなりに面白くて読める本。歴史好きならば、というところか。ただし、これらの反乱の背景に建…

分からない数学読み物

『多様体とは何か 空間と次元から学ぶ現代科学の基礎概念』小笠英志 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-523182-1多様体について書かれた入門的解説読み物。ほぼ多様体のみに絞っているので広がりはないが、その分多様体に特化しているとはいえる。それで良…

機械学習の考え方

『はじめての機械学習 中学数学でわかるAIのエッセンス』田口善弘 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-523960-5機械学習の考えた方について述べた本。機械学習とは要するに関係性の予測を行っているのだとした上で、様々な機械学習の手法がどのように関係性…

雑誌掲載のまとめ

『実録 脱税の手口』田中周紀 著文春新書ISBN978-4-16-661321-2脱税事件の記事をいくつか集めた本。内容把握的にも、実際のところも、脱税事件に関する週刊誌の特集記事を集めたもの、と考えておけば間違いない。そうしたもので良ければ、という本か。別にそ…

伝記っぽくはない

『明治の説得王・末松謙澄 言葉で日露戦争を勝利に導いた男』山口謠司 著集英社インターナショナル新書ISBN978-4-7976-8076-8末松謙澄について紹介した本。あまり伝記っぽくない伝記で、読み物として割り切るならば、というところか。先行研究がないからかも…

ビジネス読み物

『修羅場のケーススタディ 令和を生き抜く中間管理職向けの30問』木村尚敬 著PHPビジネス新書ISBN978-4-569-84963-8中間管理職の人が直面するような修羅場について、どう乗り切るかを考察した本。特にということはないビジネス読み物で、そういうので良け…

パズル問題集

『論理パズル100 世界の名作から現代の良問まで』小野田博一 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-523866-0論理パズル問題集。こういうのが好きな人なら、という本だが、前半は歴史的な論理パズルの紹介、後半四分の一ほどは著者が作成した現代の問題で、ち…

戦国読み物

『下剋上』黒田基樹 著講談社現代新書ISBN978-4-06-523630-7下剋上を行った幾人かの戦国大名について書かれた本。それを通して下克上の本質に迫る、という構成ではあるが、実際問題としてはほぼ列伝というもの。少なくとも私には読み取れなかった。というわ…

すべて私の意に従え

『戦争体験 一九七〇年への遺書』安田武 著ちくま学芸文庫ISBN978-4-480-51056-3学徒出陣させられた著者が、自らの戦争体験が持つ意味について弄んだ本。現代的な意義は、ないわけではないだろうが、いろいろな点できつい。一つは、元の文が書かれた1960年前…

経緯を記したもの

『天正伊賀の乱 信長を本気にさせた伊賀衆の意地』和田裕弘 著中公新書ISBN978-4-12-102645-3天正伊賀の乱の経緯をまとめた本。経緯をまとめただけでそれ以上のものはないが、それで良ければ、という本か。戦国歴史物がよほど好きな人ならば、というところ。…

左翼的

『イギリス1960年代 ビートルズからサッチャーへ』小関隆 著中公新書ISBN978-4-12-102643-91960年代における自由なイギリスの文化がサッチャリズムに堕した、ということが書かれた本。60年代イギリスの自由を最大限に称賛しつつその闇は過小評価し、サッチャ…

さらりとした説明

『アインシュタイン方程式を読んだら「宇宙」が見えた ガチンコ相対性理論』深川峻太郎 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-523549-2一般相対論の方程式を導出しながら、その数学的な意味を読み解こうとした本。ただし、数学的意味合いというよりは導出過程…

ネトウヨ的放談

『悪魔の証明 なかったことを「なかった」と証明できるか』谷岡一郎 著ちくま新書ISBN978-4-480-07400-3悪魔の証明をネタに小室直樹が書いたらこんなものになりそうな、というところを目指したような本。実際にはネトウヨ的な放談。小室直樹のファンとしては…