2013-01-01から1年間の記事一覧

『四色問題』

ロビン・ウィルソン 著/茂木健一郎 訳 新潮文庫 ISBN978-4-10-218461-5 その歴史を中心に四色問題について書かれた本。 一言でいえば悪くはない本で、悪くはないので、興味があるならば読んでみてもという本か。 ただし特別というほどのものはないと思う。 …

『医学的根拠とは何か』

津田敏秀 著 岩波新書 ISBN978-4-00-431458-5 日本の医学研究は世界の趨勢から二十年遅れてる、という本。 内容を簡単にいえば、EBMにおけるエビデンスとは実際に人間を対象にして有効かどうかを検定した疫学データでなければならないのに、日本では、医…

『黒田官兵衛 智謀の戦国軍師』

小和田哲男 著 平凡社新書 ISBN978-4-582-85703-0 黒田官兵衛の伝記。 あまりこだわりの見られないあっさりとした伝記で、大河ドラマ便乗の小規模な冊子としてならこんなもの、という感じの本か。そうしたものでよければ、というところ。 大河ドラマ便乗の今…

『歴史の読み解き方 江戸期日本の危機管理に学ぶ』

磯田道史 著 朝日新書 ISBN978-4-02-273534-8 歴史学者が書いたエッセイ集。 読んだ感じ講演集っぽい印象だが、初出雑誌が書かれているので随筆なんだろう。 特別ではないがそれなりのエッセイ。エッセイなので合う人には合うだろうから、それでよければ、と…

『文部科学省 「三流官庁」の知られざる素顔』

寺脇研 著 中公新書ラクレ ISBN978-4-12-150476-0 文部科学省で働く官僚の実態を紹介した本。 全体的に、特別に身びいきということはないが批判があるわけでもない紹介。 紹介は紹介だが、都合の悪いことは書かれていないだろうし、特に役立つとか面白いとか…

『人はなぜ集団になると怠けるのか 「社会的手抜き」の心理学』

釘原直樹 著 中公新書 ISBN978-4-12-102238-7 社会的手抜きに関して書かれた社会心理学の本。 既存の研究のそれなりのまとめで、そうしたものでよければ、という本か。 まとめとしてなら無難ではあるが、それ以上のものがあるかどうかは微妙なところだと思う…

『実録 ドイツで決闘した日本人』

菅野瑞治也 著 集英社新書 ISBN978-4-08-720711-8 著者が留学時代に入会したような決闘を行うドイツの学生結社について紹介した本。 特に紹介という以上のものがあるのではないが、紹介でよければそれなりに興味深い。興味があるならば読んでみてもよい本か…

『素数の音楽』

マーカス・デュ・ソートイ 著/冨永星 訳 新潮文庫 ISBN978-4-10-218421-9 リーマン予想を巡る数学史が描かれた本。 数学史は割と書けているのだろうが、リーマン予想や素数そのものについては、得るところはほとんどない。 数学を理解することは諦めたから…

『図解・プレートテクトニクス入門 なぜ動くのか? 原理から学ぶ地球のからくり』

木村学・大木勇人 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257834-9 プレートテクトニクスの入門書。 私は、地震とか火山とかについて書かれたものは読んだことがあってもプレートテクトニクスの本は初めてだったので、割と面白く読めた。興味があるならば読…

『シルクロードの古代都市 アムダリア遺跡の旅』

加藤九祚 著 岩波新書 ISBN978-4-00-431444-8 中央アジアの大河アムダリアの流域にある遺跡を紹介した本。 遺跡や発掘品の紹介が坦々と続く、かなり無味無機質な紹介本で、解説が必要な人にはまったく向かない。 何とか川はどこそこからどこに流れて、流域に…

『犯罪は予測できる』

小宮信夫 著 新潮新書 ISBN978-4-10-610537-1 犯罪学に関する紹介本。 全体的に、簡略で概説的な紹介本か。 前半部分はそうでもないが、トピックスとか面白おかしいものを期待すると少し間違うと思う。 こんな簡略な紹介でもな、とは思わなくもないが、紹介…

『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』

ダン・アリエリー 著/熊谷淳子 訳 ハヤカワ文庫NF ISBN978-4-15-050391-8 行動経済学に関する入門読み物。 著者らが行った実験を現実の例も含めて面白く描いているので、割といい本だとは思う。興味があるならば読んでみてもいい本。 ただし、入門読み物…

『エピゲノムと生命 DNAだけでない「遺伝」のしくみ』

太田邦史 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257829-5 同じDNAでも細胞によって遺伝子の使われ方が異なることに関してあれこれと書かれた本。 基本的に多くのことが雑多に放り込まれた本で、雑学本として見られるなら面白いが、現実にはそこまでいか…

『大栗先生の超弦理論入門 九次元世界にあった究極の理論』

大栗博司 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257827-1 超弦理論についての一般向け解説書。 特に可もなく不可もない普通の解説書だと思う。興味があるならば読んでみても、という本か。 私には面白かったが、それは多分、本書が私にとって超弦理論の何冊…

『日本中枢の崩壊』

古賀茂明 著 講談社文庫 ISBN978-4-06-277611-0 官僚の人が自分の経験を元に書いた官僚批判エッセイ。 よくいえば、ありがちな官僚批判。霞ヶ関の官僚は極めて優秀で無謬だ、くらいに思っているなら、読んでみても、という本か。 ありがちといえばありがち。…

『占領史追跡 ニューズウィーク東京支局長パケナム記者の諜報日記』

青木冨貴子 著 新潮文庫 ISBN978-4-10-133752-4 占領時代におけるニューズウィーク東京支局長の記録を紹介したノンフィクション。 独立秘史というような期待はできないが、一人の人間を追ったノンフィクションとしては、それなりのノンフィクション、という…

『三角形の七不思議 単純だけど、奥が深い』

細矢治夫 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257823-3 三角形に関していろいろ書かれた幾何読み物。 好事家向けの読み物なので、幾何学愛好家ならば面白いのかもしれない。好事家ならば、という本か。 あれこれだらだらと書かれているだけであること、あ…

『マンガ 線形代数入門 はじめての人でも楽しく学べる』

鍵本聡 原作/北垣絵美 漫画 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257822-6 行列に関する入門読み物。 線形代数というよりは行列で、その入り口のところだけを書いたというもの。入り口だけでよければ、という本か。 入り口が書いてあるというだけで実際のと…

『近代中国史』

岡本隆司 著 ちくま新書 ISBN978-4-480-06724-1 現代中国において病根となるような近代中国の経済社会構造を説明した本。 図式的で分かりやすくはあるから、そうしたものでよければ読んでみても、という本か。 図式的すぎて、ちょっと大丈夫かという気はしな…

『リンパの科学 第二の体液循環系のふしぎ』

加藤征治 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257820-2 リンパについて書かれた本。 教科書っぽくリンパについてあれこれ書かれた概説書で、概説書でよければ、という本か。 ただし、堅めの概説書で読みやすくはないし、リンパについてはまだ分からないこ…

『オイラーの公式がわかる 数学の至宝を知る』

原岡喜重 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257818-9 オイラーの公式に関して書かれた本。 基本的に、オイラーの公式の導入と、その応用例が書かれた本で、興味深くはあるが簡単ではないと思う。それでよければ、という本か。 いってみれば、オイラーの…

『宇宙は無数にあるのか』

佐藤勝彦 著 集英社新書 ISBN978-4-08-720694-4 人間原理に関して書かれた宇宙論の読み物。 宇宙を支配する物理法則や定数が人間を生み出すのに都合よく微調整されているという問題は、マルチバースを考えれば、多くの宇宙の中でたまたま人間に都合のいい宇…

『古語と現代語のあいだ ミッシングリンクを紐解く』

白石良夫 著 NHK出版新書 ISBN978-4-14-088409-6 雑多な論集。 一応古語と現代語の間のミッシングリンクという軸はあるが、テーマではないし、無理やり設定してある感じでチグハグな印象があることは否めない。雑多な論集でよければ、という本か。 内容が…

『ヒトの心はどう進化したのか 狩猟採集生活が生んだもの』

鈴木光太郎 著 ちくま新書 ISBN978-4-480-06720-3 ヒトが他の動物と異なるどういう特色を持っているかについて書かれた雑録。 エッセイといっても論というよりは雑録で、あれこれいろいろ書かれただけのものだが、そうしたものでよければ、という本か。 なん…

『新・ローマ帝国衰亡史』

南川高志 著 岩波新書 ISBN978-4-00-431426-4 三世紀末から五世紀初頭にかけて、衰亡するローマ史を追った本。 この時代の政治史が書かれた小著といえば、そうした小著。この時代のローマ史が書かれた本が読みたければ読んでみても、という本か。 ただ、著者…

『牛乳とタマゴの科学 完全栄養食品の秘密』

酒井仙吉 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257814-1 牛乳とタマゴに関する雑学本。 特別ではないが悪くはない雑学本で、ほぼ雑学本としかいうことはない。雑学本でよければ、読んでみてもという本。 いろいろ書かれているしバランスも取れていて、雑学…

『憲兵伍長ものがたり 諜報戦の舞台ウラ』

山内一生 著 光人社NF文庫 ISBN978-4-7698-2788-7 中支派遣軍で著者の同期や先輩だった憲兵下士官たちの経験を綴ったエピソード集。 上官の息女を東京から中国まで連れてきたとか人力車で上海の街をパレードしたとか、諜報戦の舞台裏というようなものはあ…

『ドキュメント 遺伝子工学 巨大産業を生んだ天才たちの戦い』

生田哲 著 PHPサイエンス・ワールド新書 ISBN978-4-569-81202-1 遺伝子工学の最初の事例であるヒトインスリンの生産開発競争を描いたノンフィクション。 1970年代後半というやや古い時代を描いたものだが、ノンフィクションとしては普通のノンフィクション。…

『世田谷代官が見た幕末の江戸 日記が語るもう一つの維新』

安藤優一郎 著 角川SCC新書 ISBN978-4-04-731607-2 幕末におけるとある代官一族の日記から当時の事件などを紹介した歴史読み物。 細かい史料紹介なのでこんなものといえばこんなものだが、幕末なのにたいした事件もないといえばたいした事件もない。それでも…

『宇宙のはじまりの星はどこにあるのか』

谷口義明 著 メディアファクトリー新書 ISBN978-4-8401-5110-8 深宇宙観測に関して書かれた入門読み物。 特別ではないが、割と深宇宙観測に特化しているので、それなりの読み物という本か。そういうものでよければ、読んでみてもという本。 まったく初めての…