『謎とき平清盛』

本郷和人
文春新書
ISBN978-4-16-660835-5
平清盛に関連して書かれた試論的なエッセイ。
大河ドラマ便乗本としてではなく、この著者のエッセイが読みたければ、読んでみてもという本か。個人的には面白いと思った。
オーソドックスな伝記ではないので、単純な大河ドラマ便乗本と見て買うと間違うかもしれない。保元の乱の説明とか、本書程度で分かるのだろうか。
そうしたものなので、それでよければ、という本。
この著者のエッセイでよければ読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・権門体制論のような史論を承認すると、個別の些末な事例を研究する若い研究者でも自分の成果を一般化できる。
・犬追物は馬術と弓術の訓練でもあった。
保元の乱の争いを武力で解決したことは、当時としては画期的なことであり、その後の権勢の行方を見ればこれを着想したのは藤原信西だと考えられる。
平清盛は、忍耐強く王家や公家の間にあって勢力を伸ばした。
・反面、清盛が国主、国司国衙といった朝廷政権の装置を使ったことは、旧政権に対峙する在地武家勢力から見れば、攻めるべき対象に見えただろう。