『無国籍』

陳天璽
新潮文庫
ISBN978-4-10-136021-8
無国籍の人が無国籍に関して書いた半自伝的な読み物。
一冊の本として書かれているのでテーマ的な流れはあるが、大体の感じとしてはブログのより抜きみたいな読み物か。
発展前の中国へ行って貧しいながらの純朴さや美しい目の輝きに感銘を受けちゃうようなアレだが、それでも良ければ、という本。
読み物としては可もなく不可もなく。属性つきでよければ、というところではないかと思う。
ブログ的な読み物ならいくらでも転がっている現在、特に秀でたもの、というわけでもないが、なんらかの属性、例えば国に属さないという属性について面白そうだと思えば、読んでみても、という本ではないだろうか。
批判をすれば、他人についてはあまり見えていないだろうという感じはある。同じ華僑でも日本にいる華僑と香港にいる華僑では違うだろうし、日本にいる華僑だってそれぞれ事情も異なるだろうに、全部いっしょくたにしてしまって、自分の事情の延長線上でしか捉えていない印象は受ける。ただ、半自伝的な読み物だから、そこまでの欠点とはならないだろう。
ブログ的読み物でよければ、という読み物。
それでよければ読んでみても、という本だろう。

メモ。
中国は夫婦別姓と聞いたが、著者の両親(共に大陸出身)は父も母も陳さんらしい。