2019-01-01から1年間の記事一覧

それなり

『Mr.トルネード 藤田哲也 航空事故を激減させた男』佐々木健一 著文春文庫ISBN978-4-16-791392-2竜巻の大きさを分類するFスケールを開発し、ダウンバーストを発見した藤田哲也の業績を紹介した本。一般的な評伝でもないし科学的に詳しく説明してあるのでも…

強い主張をした本

『統計分析を知れば世界が分かる 身長・体重から格差問題まで』松下貢 著中公新書ISBN978-4-12-102564-7複雑な事象についての統計は対数正規分布になるはずであり、そうなっていない場合にはそれを矯正すべきである、と主張した本。論理的には無理筋の強い主…

表面的なリポート

『インドが変える世界地図 モディの衝撃』広瀬公巳 著文春新書ISBN978-4-16-661237-6インドについての現状報告。あまり深くはない、現政権に好意的な報告だが、現状のインドに関して知る最初のとっかかりとしてならこれもあり、という本か。それで良ければ、…

好事家向け

『数の概念』高木貞治 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-517067-0整数、有理数、実数の公理系を組み立てようとした本。読み物とまではいかない一般向け数学本で、それで良ければ、という本か。公理から論理で定理を組み立てていくさまは、鋭くはある。た…

読みやすい入門

『教養としてのヤクザ』溝口敦・鈴木智彦 著小学館新書ISBN978-4-09-825356-2ヤクザを取材してきた著者らがヤクザについて対談形式で語った本。対談形式なのでさらっと読めて、入門としては悪くない本か。興味があるならば読んでみても、というもの。その分…

雑学読み物

『行動経済学の使い方』大竹文雄 著岩波新書ISBN978-4-00-431795-1行動経済学の知見を利用した政策をあれこれ紹介したもの。あれこれ紹介しただけで、テーマやまとまりはなく、雑多な感じの雑学読本っぽい読み物。それで良ければ、という本か。雑学読み物で…

でっていう

『善意という暴力』堀内進之介 著幻冬舎新書ISBN978-4-344-98572-8現代社会を批判してみました、という本。論理構成がどうなっているかは、私にはまったく読み取れなかった。ペダンチックにあれこれ小難しいことを言ってみました、という以上のものがあるか…

珍しめの従軍記

『陸軍軽爆隊 整備兵戦記 飛行第七十五戦隊インドネシアの戦い』辻田新 著光人社NF文庫ISBN978-4-7698-3134-1太平洋戦争に従軍した著者の体験記。整備兵の上に実弾は訓練でしか撃ったことがないということで、戦記ではない。体験記。陸軍の体罰を肯定的に…

好事家向け

『江戸の終活 遺言から見る庶民の日本史』夏目琢史 著光文社新書ISBN978-4-334-04433-6江戸時代に書かれた大名・武士ではない人の遺書をいくつか紹介した本。基本的にただの紹介なので、それで面白いと思える人向き。それで良ければ、という本か。江戸時代の…

SF者向け

『月はすごい 資源・開発・移住』佐伯和人 著中公新書ISBN978-4-12-102560-9月に関して知られていることや月面探査の現状についてのまとめ。ひととおりあれこれ書かれていて、まとめとしてはこんなもの、という本か。それで良ければというもの。簡略なまとめ…

入門の入門

『高次元空間を見る方法 次元が増えるとどんな不思議が起こるのか』小笠英志 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-517283-4位相幾何の入門的に、高次元空間における結び目のありようを直観させようとした本。分かるかどうかはともかく、読者に直感してもらお…

入門

『ネットで勝つ情報リテラシー あの人はなぜ騙されないのか』小木曽健 著ちくま新書ISBN978-4-480-07254-2情報リテラシーに関する入門読み物。特別な内容があるのでもない入門読み物で、そうしたもので良ければ、という本か。入門としては、こんなものではあ…

通史

『奴隷船の世界史』布留川正博 著岩波新書ISBN978-4-00-431789-0アフリカから南北アメリカに運ばれた奴隷貿易についてのまとめ的な通史。割とざっくりとした通史で、通史で良ければ、という本か。ただし、通史なので穏便でねちっこさはないが、こういう本を…

入門といえば入門だが

『虚数はなぜ人を惑わせるのか』竹内薫 著朝日新書ISBN978-4-02-295028-4虚数について書かれた入門読み物。難しいということはないがあまり内容もない読み物で、あくまで入門書で良ければ、という本か。入門としてはこれでありかもしれない。虚数に入門が必…

教本

『数学にとって証明とはなにか ピタゴラスの定理からイプシロン・デルタ論法まで』瀬山士郎 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-516852-3証明について書かれた数学教本。雑学ガイドではなく、やや堅苦しい教本と考えたほうがいいと思う。それで良ければ、と…

テーマがややうざい

『我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの』藤崎慎吾 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-516778-6人工生命を創ることによって生命を研究しようという合成物理学を通じて生命を探ろうとした本。様々な合成生物学を紹介したもの、でもある…

分析はできていない感じ

『日英インテリジェンス戦史 チャーチルと太平洋戦争』小谷賢 著ハヤカワ文庫NFISBN978-4-15-050544-8太平洋戦争勃発直前の時期にイギリスがどのような日本の情報を得て、どのように動いたかを紹介した本。全体としてイギリスの対外折衝史という以上のもの…

軽い紹介

『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』山口慎太郎 著光文社新書ISBN978-4-334-04422-0結婚や子育てに関する統計研究をいくつか紹介した本。母乳で育てると数年は健康状態が良くなるが成長すればそこまでの差はない、とか…

上から目線を感じる

『民事裁判入門 裁判官は何を見ているのか』瀬木比呂志 著講談社現代新書ISBN978-4-06-516724-3民事裁判の実際について書かれた本。訴え、弁論、人証、和解、判決、上訴という民事裁判の流れにそって、民事裁判の行われ方などを記したもの。取り立ててどうこ…

訓詁

『憲法学の病』篠田英朗 著新潮新書ISBN978-4-10-610822-8日本の憲法学村を批判した本。つづめて言えば要するに、日本国憲法は国連を中心とした国際法に隣接したものであるのに日本の憲法学ではそれを拒否している、という批判を九条解釈を中心に行ったもの…

ありがちな読み物

『ヒューマンエラーの心理学』一川誠 著ちくま新書ISBN978-4-480-07235-1錯覚やバイアスなどの、人間のエラーを集めた雑多な心理学読み物。雑多な心理学読み物、という以上のものはないが、それで良ければ、という本か。この手の本は結構あり、読んだことの…

90年前の同時代

『クーデターの技術』クルツィオ・マラパルテ 著/手塚和彰 鈴木純 訳中公文庫ISBN978-4-12-206751-6ロシア革命からヒトラーの台頭に至るまでの、ヨーロッパ諸国におけるクーデターの事例を扱った同時代ルポ集。一つの歴史的資料としては、歴史的資料。それ…

タイトル詐欺

『アメリカはいかに日本を占領したか マッカーサーと日本人』半藤一利 著PHP文庫ISBN978-4-569-76896-0マッカーサーと昭和天皇とのかかわりを中心に記した歴史読み物。テーマも結論もあいまいだし、良い本だとは思わないが、マッカーサーと昭和天皇とのか…

経済自由主義の史観

『なぜ大国は衰退するのか 古代ローマから現代まで』グレン・ハバード、ティム・ケイン 著/久保恵美子 訳日経ビジネス人文庫ISBN978-4-532-19899-2経済自由主義史観が書かれた本。ひとつの史観が描かれたものと考えれば、これはこれかもしれないが、歴史上…

それなり

『アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます』らいかーると 著小学館新書ISBN978-4-09-825349-4サッカーの戦術分析について書かれた本。どこで数的優位や突破のきっかけを作ろうとしているのか、チームや選手が行っているその具体的な方法…

五つもあって得、なのか?

『なぜ人は騙されるのか 詭弁から詐欺までの心理学』岡本真一郎 著中公新書ISBN978-4-12-102544-9説得、誇大広告、詐欺、国会答弁における詭弁、フェイクニュースに関して書かれたコラム集。特にということはないありがちな心理学読み物だが、誰だって最初の…

物理学読み物

『2つの粒子で世界がわかる 量子力学から見た物質と力』森弘之 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-516041-1ボーズ粒子とフェルミ粒子に関して書かれた物理学読み物。全体的にどうということもない物理学読み物だが、ボーズ粒子とフェルミ粒子に的を絞った…

雰囲気

『アルゴリズム思考術 問題解決の最強ツール』ブライアン・クリスチャン&トム・グリフィス 著/田沢恭子 訳ハヤカワ文庫NFISBN978-4-15-050538-7コンピューター科学などで研究、検証されているアルゴリズムを現実問題に適応しようとしてみたコラム集。そ…

かくすればかくなるものと知りながら

『今日から使えるフーリエ変換 普及版 式の意味を理解し、使いこなす』三谷政昭 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-515500-4フーリエ変換が工学分野でどのように使われるか、紹介した本。というわけで、ざらっというと、フーリエ変換の数学的原理を予め理…

この著者によるエッセイ

『いやでも数学が面白くなる 「勝利の方程式」は解けるのか?』志村史夫 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-515487-8数学に関して書かれたエッセイ。数学エッセイというよりはこの著者が書いたエッセイというところで、エッセイなので合う人には合うのだろ…