『将軍側近 柳沢吉保 いかにして悪名は作られたか』

福留真紀 著
新潮新書
ISBN978-4-10-610419-0
柳沢吉保に関して書かれた読み物。
テーマ的には、吉保は自分が新興の成り上がり者だと分かっていたから身を慎むように心がけていた、という話がメインだが、あまり深く論じられているわけでもないし、きっちりした評伝でもないし、読み物的なエッセイ、という感じの本か。
そうしたものでよければ、という本。
読み捨てのコンビニ文庫みたいな感じで、新潮新書はある程度そういうものを目指しているようだし、それでよければそうしたものではある。
ただし、今の時代この程度の読み物ならネット上に転がっていそうではあるが。専門家がきっちり書いたものはないかもしれないが、専門家が書いたからどうだというほどのものでもないだろうし。
悪い本ではないが、お金を出してまで買う価値があるかというと、少し疑問に思う。
それでもよければ、という本だろう。

以下メモ。
・綱吉就任後失脚した酒井忠清の嫡男忠挙や忠清の婿であった高松松平家の頼常は、柳沢吉保に頼って将軍綱吉へつないでもらった。吉保邸への将軍御成のときに迎え役をしたりしている。
・柳沢家は武田氏支流を称し、吉保は家臣に竹田は許しても武田と名乗ることは許さなかった。
・綱吉は自分で決められない政策判断を籤引きでしていたらしい。