2016-01-01から1年間の記事一覧

『世にも奇妙な人体実験の歴史』

トレヴァー・ノートン 著/赤根洋子 訳 文春文庫 ISBN978-4-16-790739-6 歴史上の自己実験について書かれたノンフィクション。 疾病の原因物質や治療法の他、サメや深海、超音速に自分の身をさらした様々な人々のことをあれこれと集めたもので、まあそれなり…

『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』

呉座勇一 著 中公新書 ISBN978-4-12-102401-5 応仁の乱について書かれた本。 興福寺別当職を勤めた二人の僧侶(といっても摂関家子弟)の日記を軸に、応仁の乱前後の動きを追ったもの。 歴史ものとしてはまあそれなりのまとめだが、全体的に応仁の乱がどうい…

『アルファ碁はなぜ人間に勝てたのか』

斉藤康己 著 ベスト新書 ISBN978-4-584-12530-4 アルファ碁やAIについて書かれた本。 それらに関連したことをざらっとした感じに一通りまとめた読み物で、エッセイに近く、エッセイなので合う人には合う、という本か。それでよければ、というもの。 特別と…

『周 理想化された古代王朝』

佐藤信弥 著 中公新書 ISBN978-4-12-102396-4 周の通史。 金文史料を中軸に西周の成立から春秋戦国期までを再構成したもので、史料的な制約から詳細ではないし、通史なので特別どこかが面白いということもないが、通史といえば一つの通史、という本か。そう…

『ひとりで学べる電磁気学 大切なポイントを余さず理解』

中山正敏 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257986-5 電磁気学の教科書。 ほぼ教科書なので、それでよいという人なら、という本か。 静電誘導だの電磁誘導だの誘導電荷だの電気分極だの電気的分極だの分極電荷だのと似たような用語が多く、まあマクスウ…

『経済数学の直感的方法 マクロ経済学編』

長沼伸一郎 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257984-1 経済学の動的マクロ均衡理論で使われる数学の思想背景を説明した本。 比較的高度な数学を一冊で説明するのだから相当捨象はされているだろうし、本書を読んだからといってその数学がただちに使え…

『重力波とはなにか 「時空のさざなみ」が拓く新たな宇宙論』

安東正樹 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257983-4 重力波に関して書かれた本。 入門というよりは、重力波に関連した様々な事柄を手広くまとめた総合概説で、個人的にはやや詰め込みすぎの総花的解説だったが、こういうのがいいという人もいるだろう…

『光と電磁気 ファラデーとマクスウェルが考えたこと 電場とは何か? 磁場とは何か?』

小山慶太 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257982-7 19世紀に電磁気学を確立させたファラデーとマクスウェルについての伝記的読み物。 基本的に伝記で、電磁気学についての説明ではない。それでよければ、という本か。 個人的には、もう少し何かあって…

『あなたの知らない脳 意識は傍観者である』

デイヴィッド・イーグルマン 著/大田直子 訳 ハヤカワ文庫 ISBN978-4-15-050475-5 脳科学に関して著者の主張が書かれた本。 前半は脳科学の知見を紹介したもの、後半は、それを元に、選択の自由があったはずだからといって犯罪者を断罪するのはおかしいかも…

『少年飛行兵物語 海軍乙種飛行予科練習生の回想』

門奈鷹一郎 著 光人社NF文庫 ISBN978-4-7698-2697-6 著者の予科練時代の体験をつづったよもやまエッセイ。 全体的には、可もなく不可もなく、特にどうということはないエッセイで、興味があれば読んでみても、という本か。 予科練自体の解説もないし、現代…

『ラバウル獣医戦記 若き陸軍獣医大尉の最前線の戦い』

大森常良 著 光人社NF文庫 ISBN978-4-7698-2966-9 第二次世界大戦中にラバウルに篭城した獣医による戦記。 ラバウルというのは飛び石作戦で後方にほうって置かれた日本軍の拠点なわけで、戦闘らしい戦闘や行軍はまずほとんど存在しない戦記となっており、…

『ケインズかハイエクか 資本主義を動かした世紀の対決』

ニコラス・ワプショット 著/久保恵美子 訳 新潮文庫 ISBN978-4-10-220051-3 経済学説史におけるケインズ派とハイエク派の対立を描いたノンフィクション。 経済学説史上の一エピソードとして読めるなら、そこそこ興味深く、それなりという本か。そうしたもの…

『イスラエル秘密外交 モサドを率いた男の告白』

エフライム・ハレヴィ 著/河野純治 訳 新潮文庫 ISBN978-4-10-220066-7 モサドの長官を務めた人の回顧録。 ただし、回顧録といっても告白というよりかはほぼプロパガンダで、アメリカの読者に向けて、イスラエルはアメリカの役に立つ、イスラエルにとってよ…

『不屈の棋士』

大川慎太郎 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-28378-8 コンピュータ将棋ソフトについて将棋棋士十一人に聞き取りしたインタビュー集。 企画内容的には、個人的に想定したそのままズバリの内容で、面白かったし文句をいうようなことはまったくないが、全員せせ…

『感情で釣られる人々』

(堀内進之助 著、集英社新書)を第一章の終わりまでで挫折。 80年代広告批判な著作。 三十年前と何が違うのかだけ教えてほしかったが、まあそうもいかないのだろう。 しかし、三十年前と同じ批判が有効なら、その批判は有効ではなかったということではない…

『保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで』

宇野重規 著 中公新書 ISBN978-4-12-102378-0 保守主義について書かれた本。 保守主義についての著者なりのまとめ、といった簡潔なレポートで、著者の関心や問題意識が元にあるからやや偏ってはいるだろうが、簡便なまとめではある。そうしたものでよければ…

『マンガ「解析学」超入門 微分積分の本質を理解する』

ラリー・ゴニック 著/鍵本聡、坪井美佐 訳 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257973-5 微分積分について書かれた本。 入門としては割と本格的なもので、本格的なだけに分かりやすくはないが、内容に比較すれば相対的には分かりやすい、という本か。教科書…

『へんな星たち 天体物理学が挑んだ10の恒星』

鳴沢真也 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257971-1 いくつかの恒星について書かれたコラム集。 天文ファン向けの天体読み物、といった感じのもので、それでよければ、という本か。 あまり特別なものでも、ファン以外の広く一般向けにという本でもない…

『税務署は3年泳がせる。』

飯田真弓 著 日経プレミアシリーズ ISBN978-4-532-26307-2 元国税調査官が税務調査に関して書いたエッセイ。 どうということもないエッセイというか、個人的には本当に何もなかったが、エッセイとして悪いものではないので、税務について何も知らない人なら…

『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源 上』

ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン 著/鬼澤忍 訳 ハヤカワ文庫 ISBN978-4-15-050464-9 持続的な経済成長にはそれを阻害する要素を排除するための多元的な政治的自由が必要である、と主張した本。 要するにもっと簡略にいえば、自由は正しい、…

『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』

清水潔 著 新潮文庫 ISBN978-4-10-149222-3 足利事件を始め、足利と太田で発生した幼女誘拐殺人事件に関して書かれた本。 基本的にはミステリー系のノンフィクションで、そういうものとしては結構面白いと思う。日本推理作家協会賞受賞というのは分かる。そ…

『「ひと粒五万円!」世界一のイチゴの秘密』

白石拓 著 祥伝社新書 ISBN978-4-396-11470-1 高級果物農業について書いたルポ。 大きなものは一粒五万円になるというイチゴの品種「美人姫」を中心に、同じく高級路線を取っているブドウ「ルビーロマン」の開発や販売戦略を記したもので、コンビニに置いて…

『脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす』

甘利俊一 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257968-1 脳の数理に関して著者の研究や考えを書いた本。 個人的にやや食い足りない気がしたが、詳細を書いても難解になるだけだろうから、これはこれでというところか。興味があるなら読んでみても、という…

『血盟団事件』

中島岳志 著 文春文庫 ISBN978-4-16-790620-7 血盟団事件について、テロに至る発想の萌芽から事件の顛末までを追ったノンフィクション。 ノンフィクションとしてはまあこんなものだろうとは思うものの、事件の関係者が自分たちの記録を残したとして、このく…

『新選組 粛清の組織論』

菊地明 著 文春新書 ISBN978-4-978-4-16-661073-0 芹沢鴨、山南敬助、伊東甲子太郎など、新選組の内部粛清の歴史をつづった歴史読み物。 読み物としてはそれなりの歴史読み物だが、粛清の歴史がつづられたという以上のものはない。それでもよければ、という…

『人類20万年 遥かなる旅路』

アリス・ロバーツ 著/野中香方子 訳 文春文庫 ISBN978-4-16-790604-7 現生人類の足跡を追った紀行文的な読み物。 アフリカに生まれ、地球上に広がった現生人類の移動や生活の跡を追ったもの、ではあるが、科学的なノンフィクションというよりは、各地での人…

『曲線の秘密 自然に潜む数学の真理』

松下泰雄 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257961-2 科学史の中で曲線に関連したことをいくつか描いた読み物。 ひとつの読み物といえば読み物かもしれないが、曲線の解説でもないし科学史の説明でもないし、個人的には微妙だった。 ケプラーの楕円軌道…

『超対称性理論とは何か 宇宙をつかさどる究極の対称性』

小林富雄 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257960-5 超対称性に関して書かれた本。 あんまり難しくはないが、その分深くもない本で、素粒子物理学についてある程度は知っているが超対称性についてはまったくの初心者、という人にはいいのだろうと思う…

『フィルターバブル インターネットが隠していること』

イーライ・パリサー 著/井口耕二 訳 ハヤカワ文庫NF ISBN978-4-15-050459-5 インターネットにおけるパーソナルフィルターに関して書かれた本。 フィルターバブルというのは要するに、ネットにおいては個々人がそれぞれにフィルターという枠に包まれて、泡…

『日本海 その深層で起こっていること』

蒲生俊敬 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257957-5 日本海についていろいろと書かれた本。 深みが足りないが、雑学本といえば雑学本。そうしたものでよければ、という本か。 ただ、何もかもが悪い方に向かっています、今すぐ契約書にサインを、という…