『真田三代 幸綱・昌幸・信繁の史実に迫る』

平山優 著
PHP新書
ISBN978-4-569-80008-0
真田家の三代の武将について書かれた本。
内容的には、幸綱、昌幸だけなら普通の戦国読み物だが、信繁に関しては著者の思い入れが強すぎて、講談レベルと大差ない。
正直、ちょっとどうかというところか。幸綱、昌幸の二人分にだけ期待するという手もあるが、これだけ思い入れが強いのに、その父と祖父に対する記述が本当に大丈夫なのだろうか。
武田と上杉が戦略的目的のよく分からない戦いに否応なく巻き込まれていく様はそれなりに面白かったが、完全な編年順になっていないので天正壬午の乱の辺りなど若干分かりにくかったし、史料関係の話もほぼことごとくカットされており、問題は多い。
二人分だけで、ということはあるかもしれないが、それでもなお、といえるほどのものはない。
特に薦められる本ではないだろう。