2019-01-01から1年間の記事一覧

期待しないのなら

『ゲーム理論入門の入門』鎌田雄一郎 著岩波新書ISBN978-4-00-431775-3ゲーム理論についての紹介読み物。入門というよりは紹介読み物で、特別でもないと思うし分かりやすいわけでもないが、短いのであっさりとは読める。これはこれで、というところだろうか…

論証不足

『事大主義 日本・沖縄・朝鮮の「自虐と侮蔑」』室井康成 著中公新書ISBN978-4-12-102535-7事大主義という概念の歴史を追った本。概念の変遷を見た本としてはいろいろ面白かったが、全体的に論証が気持ち悪く、お薦めするほどではなかった。論証については、…

後はコンピューターが計算してくれる

『はじめての量子化学 量子力学が解き明かす化学の仕組み』平山令明 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-515213-3量子化学の初歩を紹介した本。一応入門書ではあるが、有機化学や量子力学について多少はかじったことのある人向け。それで良ければ、という本…

読者層狭そう

『植物たちの戦争 病原体との5億年サバイバルレース』日本植物病理学会 編著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-515216-4植物と病原体との戦いに関する読み物。ぶっちゃけていうと、この分野か近い分野を専攻しようとしている大学生くらいならそれなりに面白…

思い入れはあるのだろうが

『言語学講義 その起源と未来』加藤重広 著ちくま新書ISBN978-4-480-07209-2言語学に関していくつかのことが書かれた本。概説や講義ではなく、著者が言語学に感じている想いをつづったもの。想いをつづったということで、あえて良く言えばエッセイっぽい部分…

火盗読本

『火付盗賊改 鬼と呼ばれた江戸の「特別捜査官」』高橋義夫 著中公新書ISBN978-4-12-102531-9火付盗賊改について書かれた読み物。正確に、ではないが、時代小説ファンに向けて火付盗賊改の実態を探ろうとした本と考えておけば、当たらずといえども遠からず、…

やや中途半端か

『宇宙はなぜブラックホールを造ったのか』谷口義明 著光文社新書ISBN978-4-334-04395-7ブラックホールに関して書かれた本。簡便なまとめ、といえばまとめだが、中級者向けにはあまりこれといった内容はなく、初心者向きにはやや説明がおざなりであるような…

今すぐ契約書にサインを

『ネット階級社会 GAFAが牛耳る新世界のルール』アンドリュー・キーン 著/中島由華 訳ハヤカワ文庫NFISBN978-4-15-050536-3GAFAに代表される一部の勝ち組企業がのさばるインターネットの現状を悲観的に描いた本。何もかもが悪いほうへ向かっていま…

雑学本

『古代オリエントの神々 文明の興亡と宗教の起源』小林登志子 著中公新書ISBN978-4-12-102523-4古代オリエントで信仰されていた神々に関する雑学本。かなり雑多な内容で、これといったテーマや軸になるようなものはない。雑学本で良ければ、という本か。悪い…

行動経済学エッセイ

『愛と怒りの行動経済学 賢い人は感情で決める』エヤル・ヴィンター 著/青木創 訳ハヤカワ文庫NFISBN978-4-15-050535-6行動経済学に関する読み物。感情もそれなりに合理的な判断に導くとか、人間同士の関係性を分析しているとか、全体的な傾向としては確か…

半自伝的エッセイ。ではないが

『1971年の悪霊』堀井憲一郎 著角川新書ISBN978-4-04-082043-91970年代初めにおけるカウンターカルチャーとしての左翼的気分を当時中学生だった著者が書き留めた本。その悪霊が現在までたたっている、というのがタイトルや序章や最終章のテーマではあるが、…

家庭の医学的な

『免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何か』宮坂昌之/定岡恵 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-514434-3慢性炎症が関連している病気について書かれた本。それらの病気について原因や治療法がまとめられたもので、家庭の医学という以上のもの…

ちゃんと勉強する人向け

『今日から使える物理数学 普及版 難解な概念を便利な道具にする』岸野正剛 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-514213-4物理数学の副読本。読み物ではなく副読本なので、教科書片手にきちんと勉強する人がその合間に読むような本か。そうしたもので良けれ…

仮説というよりは

『海と陸をつなぐ進化論 気候変動と微生物がもたらした驚きの共進化』須藤斎 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-513850-2海洋性哺乳類の発達に関する著者の説を書いた本。仮説自体は、どうにも、という感じだが、それに関連することがいろいろと書かれてい…

あまり分かりやすい本ではない

『百姓一揆』若尾政希 著岩波新書ISBN978-4-00-431750-0百姓一揆が表象している近世の政治思想を探ろうとした本。表象という、そういう分かりにくい本だし、はっきりした結論めいたものもなくグダグダしているので、あまりいい本だとは思えないが、そういう…

ほぼ教科書

『はじめての解析学 微分、積分から量子力学まで』原岡喜重 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-513853-3解析学の初心者向け教科書。新書一冊に収まっているし数学史を踏まえた構成にもなっているので教科書というより読み物なのだろうが、私の立ち位置くら…

分かりにくくないかな

『独楽の科学 回転する物体はなぜ倒れないのか?』山崎詩郎 著講談社ブルーバックスISBN978-4-06-513855-7コマについて書かれた本。電子のスピンとかブラックホールとかの名前も出てはくるが、コマに関連した科学読本というよりは本当にコマの科学的特性が書…