訓詁

憲法学の病』
篠田英朗 著
新潮新書
ISBN978-4-10-610822-8
日本の憲法学村を批判した本。
つづめて言えば要するに、日本国憲法は国連を中心とした国際法に隣接したものであるのに日本の憲法学ではそれを拒否している、という批判を九条解釈を中心に行ったもの。そうしたもので良ければ、という本か。
日本国憲法はGHQつまり国連が草案を作っているのだから、それはそうなんだろうという気はする。
ただし、成法典を相手にしているからしょうがないのかもしれないが、訓詁的というか、語句の解釈とかのせせこましい話題が中心の本ではある。
せせこましい語句解釈なので、十分に説得的とは言えないだろう。
例えば、国連憲章五十一条が「この憲章のいかなる規定」にもかかわらず個別的集団的自衛権を認めているのなら、その明確な規定のない日本国憲法自衛権を認めているかどうかはあやしいのではないだろうか。
後は、そうしたもので良ければ、という本。
批判としては一つの批判だと思う。
そうしたもので良ければ、という本だろう。
以下メモ
国際法においてはパリ不戦条約や国連憲章において戦争が認められていないので、日本国憲法国際法から孤立して戦争を放棄しているということはない。
国際法は、かかる不戦体制構築のための強制力として、自衛権を認めている。
国家を人のようにみなして、正当防衛する自然権がある、というような話ではない。
日本国憲法前文では、国政は国民の厳粛な信託による(ガバメント・イズアセイクリッドトラスト・オブザピープル)ということを原理にしている。つまり、国民が信託する条項が、憲法である。
日本国憲法前文にある「平和を愛する諸国民」とは、連合国の国民、(戦争が認められていない)国連加盟国の国民のことである。