経済自由主義の史観

『なぜ大国は衰退するのか 古代ローマから現代まで』
グレン・ハバード、ティム・ケイン 著/久保恵美子 訳
日経ビジネス人文庫
ISBN978-4-532-19899-2
経済自由主義史観が書かれた本。
ひとつの史観が描かれたものと考えれば、これはこれかもしれないが、歴史上の様々な大国の衰退を分析したように見せかけているのは、どうなんだろう。それでも良ければ、という本か。
主張としては要するに、歴史上の大国は政治的停滞によって経済が固定化され活力を失い財政が苦しくなって衰退した、今のアメリカも財政赤字が拡大しておりピンチである、今すぐ政治改革を、というもの。
史観としては分からなくはないが、方法論として本書のような形でいいのかどうか。
潤沢に兵を増員できる財政的余裕のある大国が衰退することはちょっと考えにくいが。
市場至上的な経済自由主義に反対の人にとっては、なおさらではないだろうか。
そうしたもので良ければ、という本だろう。