珍しめの従軍記

『陸軍軽爆隊 整備兵戦記 飛行第七十五戦隊インドネシアの戦い』
辻田新 著
光人社NF文庫
ISBN978-4-7698-3134-1
太平洋戦争に従軍した著者の体験記。
整備兵の上に実弾は訓練でしか撃ったことがないということで、戦記ではない。体験記。陸軍の体罰を肯定的に捉えている従軍記というのはあまり読んだことがないので、その点で面白かった。そうしたもので良ければ、という本か。
ほぼ戦っていないので戦記としてはあれだし、別に体罰もどうかと思うが、普通の戦記を読んだ後で一風変わった珍味としては、本書もありだと思う。
軍隊教育が蛇蝎のごとく嫌われてきたのは、戦記を書いてきた人にインテリ層が多かったためか、それともこの著者の個性か。
この著者も、敗戦間際には酷い目に遭っていそうだし、もっと愚痴や軍上層部への遺恨が書いてあってもよさそうなのにそういうのは全然ないから、性格もあるのだろう。
読後感が悪くない感じの従軍記。
第二次世界大戦の従軍記をまったく読んだことがない人ならもっと別の本があるだろうが、ある程度読んできた人がその上で読むならば本書もあり。
そうしたもので良ければ読んでみても、という本だろう。