分析はできていない感じ

『日英インテリジェンス戦史 チャーチルと太平洋戦争』
小谷賢 著
ハヤカワ文庫NF
ISBN978-4-15-050544-8
太平洋戦争勃発直前の時期にイギリスがどのような日本の情報を得て、どのように動いたかを紹介した本。
全体としてイギリスの対外折衝史という以上のものではないが、それで良ければ、という本か。
東アジアにおいてイギリス単独では日本に勝てないからアメリカを巻き込む、という基本戦略に基づいてイギリス政府首脳が情報を元にどのように動いたか、が描かれているが、本当に分析すべきなのは、その基本戦略をどのように導き出したかではないだろうか。
日本は単独ではアメリカに勝てないから、なんていう基本戦略を大日本帝国政府首脳が採用することの困難さを考えれば。
どうもかゆいところに手が届いていない感じがする。
対外折衝史としては、一つの対外折衝史。
それで良ければ、という本だろう。
以下メモ
・日本の南部仏印進駐の情報を外交暗号の解読によって早期につかんだイギリスは、早い時期からアメリカに働きかけることによって資産凍結などの経済制裁を行わせることに成功した。