『カブトムシとクワガタの最新科学』

本郷儀人 著
メディアファクトリー新書
ISBN978-4-8401-4619-7
カブトやクワガタについて書かれた昆虫読み物。
研究エッセイ寄りの昆虫読み物で、欠点はあまりなく、悪くはないという感じの本か。興味があれば、読んでみてもというところ。
ただ、カブトムシやクワガタは害虫や益虫と違って研究している人も少なく、生態があまりよく分かっていない、ということで、分かっていないことが分かるというのもいいことではあるのだろうものの、へえそうなんだという驚きは、私にはあまりなかった。
カブトムシは七月後半から八月前半に多く現れるが、クワガタはその前後に多く現れるオフ・ピーク戦略を取っているのではないか、というような話は他の生物読み物でも出てくるので、他にもいろいろ読んでいるという人には薦めにくい。
他の生物読み物は読まないけどもカブトやクワガタの話なら読んでみようか、という人向き。
後はそれほど欠点はなく、悪くはない本だと思う。
そうしたものでよければ読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・フクロウがカブトムシの天敵。
・カブトムシもリンゴの木やタイワントネリコに傷をつけて樹液をすする。
・アトラスオオカブトは、単独で生息するミンダナオ島などでは大きくなるが、コーカサスオオカブトと生息域が重なるマレー半島ではコーカサスの半分の大きさにしかならない。モーレンと重なるボルネオ島でもやはりアトラスは小さくなる。体のサイズをずらすことで競合を避けていると考えられる。