『複素数とはなにか 虚数の誕生からオイラーの公式まで』

示野信一 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-257788-5
複素数に関して書かれた本。
かなり難しく、読み物といえるかどうか微妙なところだとは思うが、それなりに面白かったので、そうしたものでよければ読んでみても、という本か。
絶対に分からない、というわけでもないと思う。
ただし、後半はやや詰め込みすぎで、何がいいたいのかよく分からない部分はあった。
読み物ではなく教科書と考えればこんなもの。
そうしたものでよければ読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
複素数平面上において、1を原点Oを中心に120度(2π/3ラジアン)回転させることを考える。
この回転を三回繰り返すと、360度回転して1に戻るから、この変換は1の立方根を求めるのと同じことである。
(90度の回転を四回繰り返すと、1→i→-1→-i→1となる)
1を120度回転させた位置ωは、内角が30度と60度の直角三角形の辺の長さの比2:1:√3より、(-1+√3i)/2と分かる。
複素数は、原点からの距離である絶対値rと、実軸の正方向から反時計回りに計った偏角で表すことができ、また三角関数を用いて r(cosθ+isinθ)と表すこともできる。-1+√3i=1∠2π/3=cos2π/3+isin2π/3 である。
絶対値が1の複素数を掛ける変換は、複素数平面上において原点を中心とした回転になるから、(cosθ1+isinθ1)(cosθ2+isinθ2)=(cos(θ1+θ2)+isin(θ1+θ2)となり、これを展開して実部と虚部を比較すると、三角関数の加法定理が得られる。
複素数を係数とするn次方程式は、重複を含めてn個の複素数解を持つ。
・すべての実数xについて、べき級数展開
e^x=1+x+x^2/2!+x^3/3!+x^4/4!+x^5/5!+……
cosx=1-x^2/2!+x^4/4!-……
sinx=x-x^3/3!+x^5/5!-……
が成り立つ。
虚数べきというものを考え、e^xのxをixに置き換えると、i^2=-1、i^3=-iから、
e^ix=1+ix+(ix)^2/2!+(ix)^3/3!+(ix)^4/4!+(ix)^5/5!+……
=(1-x^2/2!+x^4/4!-……)+i(x-x^3/3!+x^5/5!-……)
=cosx+isinx
となって、オイラーの公式e^ix=cosx+isinxが証明される。
オイラーの公式は、e^iθが絶対値1、偏角θの複素数であることを示しており、実軸の正方向から1を180度(πラジアン)回転させれば-1になるから、e^iπ=-1 である。