『HSPと分子シャペロン 生命を守る脅威のタンパク質』

水島徹 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-257774-8
HSPについて書かれた本。
薬剤開発にありがちな、この物質はこんなにスゲーという本だが、こういうのはしょうがないのだろうか。興味があれば、読んでみても、という本。
夢の新薬とか騒がれても、ものになるのはほとんど存在しないわけで、本書の意気込みほどのものは多分ないだろうとは思う。
実際、HSP70過剰生産マウスというのが出てくるが、そのマウスの寿命が延びたという話は出てこないし(線虫では四割以上寿命が延びたらしい)。
分子としての機能なども書かれているので、その方面に興味があれば、それなりというところ。
そうしたものでよければ読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・HSPは、最初細胞に熱ショックを与えると増えるタンパク質として発見された、他のタンパク質が正常な形を持って機能できるように補佐している物質である。社交界にデビューする令嬢をエスコートする役の女性から取って、分子シャペロンとも呼ばれる。
・HSPの転写因子HSF1は普段HSPと結合して非活性化されているが、変性タンパク質が出てくると、HSPが変性タンパク質と結合し、切り離されたHSF1がDNAのプロモーターに結合してHSPの生産が促進される。