『ウナギ 大回遊の謎』

塚本勝巳 著
PHPサイエンス・ワールド新書
ISBN978-4-569-79670-3
ニホンウナギの産卵場を見つけるまでの足跡を語った本。
一応ウナギについていろいろと書かれた生物読本だが、中軸には産卵場の特定という筋があって、面白い。興味があるなら読んでみてもいい本か。
ウナギの行動については分かっていないことの方が多く、生物読本としてはやや物足りない印象はあり、産卵場発見の筋を追う本だと考えた方がいい。
それでよければという本だと思う。
興味があるならば読んでみてもよい本だろう。

以下メモ。
・淡水中にはほとんどないストロンチウムの分析から、実は一生を海ですごすウナギの方が多いらしいことが分かった。
・大西洋のウナギはアフリカ東岸のモザンピークウナギと近縁であり、インドネシア辺りで発生したウナギは、ローラシア大陸ゴンドワナ大陸が衝突する前に西に生息域を広げたと考えられる。
・分子系統の結果で見ると、温帯ウナギより熱帯ウナギの方が古い。熱帯で産まれたウナギが産卵場を守ったまま、海流に乗って高緯度地域に運ばれることで温帯ウナギが誕生したのだろう。