『古代オリエントの宗教』

青木健 著
講談社現代新書
ISBN978-4-06-288159-3
二世紀から十三世紀ごろのメソポタミアイラン高原の宗教について書かれた本。
個人的にはあまりよい本だとは思わなかったが、一つのまとめといえばまとめなので、それでよければ読んでみても、という本か。
聖書ストーリーの流入とその反応、という形にまとめているのに、何故聖書にそこまでの力があったのか、何故そういう反応が出てきたのか、といった因果の流れに関する説明がないこと、聖書ストーリーに対する反応としてグノーシス主義を挙げているのに、グノーシス主義そのものについての説明が抜けていること、諸宗教に対する敬意が感じられないこと、から、私はよい本だとは思わなかった。
この時代のこの地域の宗教に関する本なんかはあまり多くはないだろうから、他になければしょうがない、というところか。
そうしたものでよければ、読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・真のキリスト教を称するマニ教は、イランや東方に布教するときにはかなり違う装いをまとった。
ゾロアスター教の二元論は、アラブ人イスラム教徒に政治的に圧倒されている中で強く押し出されたものだろう。