『昭和戦前期の政党政治 二大政党制はなぜ挫折したのか』

筒井清忠
ちくま新書
ISBN978-4-480-06687-9
加藤高明から犬養毅まで、昭和戦前期の日本の政党内閣の流れを追った本。
政党政治が何故挫折したかという問題設定から書かれたものではあるが、ほぼ流れを追った通史と考えていい。そうしたものでよければ、という本か。
面白い部分もあるが、問題設定に関しては、政党政治家の指導力不足や敵認識の甘さ、マスメディアの無理解と批判など、総花的にばらばらとあれこれ詰め込んだだけという印象。
駐在所に政友会系と民政党系のものが二つあり、政権が変わるごとにどちらかのものを使った(そのような混乱が、中立的と見られた天皇・官僚・軍部などの台頭を許した)、という話などは最後にちょこっと出てくるだけだが、もっと正面から捉えるべき問題ではないのだろうか。
全体的にはこの期間の政治史をまとめただけの本だが、小説吉田学校的な面白さがないわけではない。
そうしたものでよければ、という本だろう。