『ずる 嘘とごまかしの行動経済学』

ダン・アリエリー 著/櫻井祐子 訳
ハヤカワ文庫NF
ISBN978-4-15-050415-1
不正行為に関して書かれた本。
いろいろな実験結果などが紹介された行動経済学の本で、そうしたものでよければ、という本か。
ただし、不正行為のつじつま合わせを行う補正項があるという本書の中核をなす仮説の当否にはあまり触れないまま、その系列の話題――創造力のある人は不正の言い訳を考えるのもうまく、補正項の係数が大きいから不正しやすいとか――に移ってしまう感はある。
疲れていると不正しやすくなるとか、周りの人が不正していると不正しやすくなるとか、小さな不正をすると大きな不正をしやすくなるとか、本書の話題はその系列が多い。
それらの合わせ技で仮説が妥当だという主張なのかもしれないが、中核の主張が違っていれば全部違う話になるのではないかという気はしないでもない。
それ以外は、ありがちな普通の行動経済学の読み物。
読んでみたければ、という本だろう。