『貨幣という謎 金と日銀券とビットコイン』

西部忠
NHK出版新書
ISBN978-4-14-088435-5
貨幣に関して書かれた本。
主な内容としては、市場には貨幣が不可欠であり、貨幣とバブルは、それが明日も流通する、明日も値上がりするという人々の幻想に依拠する点で共通なので、市場にはバブルが発生する、ということが主張されたもの。
それなりといえばそれなりだが、やや論証が不十分に感じた。
一般均衡論が貨幣を前提としていないとしても、それによって何が見落とされているかは論じられていないし、市場に貨幣が不可欠で貨幣によってバブルが引き起こされるとしても、市場において絶対にバブルが不可避だともいえない。
全体に議論が粗いと思う。
私としては薦めるにはいたらないが、それでもよければ、という本だろう。