『宇宙最大の爆発天体 ガンマ線バースト どこから来るのか、なぜ起こるのか』

村上敏夫 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-257857-8
ガンマ線バーストについて書かれた本。
ブルーバックスとしてはほぼ標準クラスの、ガンマ線バーストに関する一般向けの総合概説書だと思う。興味があるならば、読んでみてもいい本。
全体の記述はガンマ線バースト研究史を追っていて、ややごちゃついた感はあるが、分かりにくいというほどではない。
一通りまとまった、よく書けた概説書だと思う。
興味があるならば読んでみてもよい本だろう。

以下メモ。
・観測が進むにつれて、ガンマ線バーストは、遠くの銀河で起こっていることや、超新星に似た残光が伴うことが分かった。
ただし、ガンマ線バーストは、極めて短い時間に光の強さが振動するので狭い領域で起こった現象だと考えられるが、狭い領域に大量のガンマ線があると光子が電子と陽電子に分解してしまうという問題があった。
ガンマ線バーストがほとんど光速に近い粒子から発せられているとすれば、相対論的な効果によって、本来光を発している領域が広くなり、光のエネルギーもガンマ線が中心でなくX線が中心となって、この問題は問題ではなくなる。
超新星の爆発時に、多くの物質がブラックホールへと落ち込む中、一部の物質だけが外に出ることで、膨大なエネルギーを使って光速近くまで加速されるのだと考えられる。