『「余剰次元」と逆二乗則の破れ 我々の世界は本当に三次元か?』

村田次郎 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-257716-8
重力が逆二乗則に従うかどうかに関して書かれた本。
割と初学者向けに、著者らが行っている重力実験の意義を説いたもので、あまり深い展開があるのでも深い理解が得られるものでもないと思うが、ざっと見渡す程度で良ければ、こんなもの、という本か。
そうしたものなので、そうしたもので良ければ、というところ。
深い理解を得たいという人ではなく、軽く雰囲気だけでも、という人向きの本だろう。
内容的には、ニュートンが発見した万有引力の法則はケプラーの法則を説明するものだから、天体レベルの距離で重力が逆二乗則に従うことは明らかだ、電気力に関するクーロンの法則も逆二乗則に従うが、これは要するに、三次元空間においては球の表面積に比例して力が弱まっていくからに他ならない、力の法則は、この他に、弱い力のように媒介粒子が質量を持つ場合に到達距離が短くなることや、量子論的効果である真空偏極によって力の元となる荷量の大きさが変わってしまうことを考慮に入れなければならない、超弦理論では高次元時空を想定するが、短い距離において重力が三次元空間を前提とする逆二乗則に従うのでないならば、重力が他の力に比べて極端に弱いという問題をクリアできる、重力は弱いので短い距離での計測は難しいが、近い将来逆二乗則を破るような計測結果が出てくるかもしれない、というところ。
基本的に、細かいところを深く理解するのではなく、ざっと見る程度で良ければ、という感じ。
そうしたもので良ければ、という本だろう。