『生態系は誰のため?』

花里孝幸 著
ちくまプリマー新書
ISBN978-4-480-68857-6
生態学に関する入門読み物。
モチーフ的には、生態学の基本的な考え方を紹介しながら、世にはびこる通俗的な環境問題対策を批判したもの。入門読み物で良ければ、悪くはない本だと思う。
基本的な考え方の紹介なのであまり深くはないし、環境問題に対応する人々を本格的に批判したものでもないが、入門読み物で良ければ、こんなもの、というところ。
あとは、そうしたものなのでそれで良ければ、という本だと思う。
入門読み物で良ければ、読んでみても良い本だろう。

以下メモ。
・大型のミジンコを餌とする魚がいると、大型のミジンコが減り、ミジンコが餌としている植物プランクトンが増えて、湖水の透明度が下がる。
 白樺湖では、動物プランクトンを餌とするワカサギを捕食するニジマスを放流することで、湖水の透明度を上げることに成功した。
・アオコが発生するような富栄養湖は、行き過ぎなければ魚などの多様性も増える。
・ヘドロも干潟も有機物が多くある場所だという点では変わりがない。
・ワカサギを食べるブラックバスの放流は非難されるが、そのワカサギも多くの場合元は他の場所から放流されたものだ。