『絶海の島ニコバル諸島戦記 インド洋最前線の孤島守備隊物語』

前田酉一 著
光人社NF文庫
ISBN978-4-7698-2669-9
太平洋戦争に従軍した著者による従軍記。
著者はまったく戦闘を経験していないので、戦記というよりは従軍記で、内容的には、内地での訓練と南の島で飢えに苦しんだことがメインという本。
この手の戦記としては、特に可もなく不可もなく、といったところで、興味があれば読んでみても、という本だと思う。
やや描写が簡潔だし、波乱万丈もないが、一通りまとまった従軍記ではある。悪くいえば、本書独自の意義、みたいなものは少ないか。
既に名のある優れた戦記と比べればそれは落ちるだろうが、これはこれで一個人の貴重な体験記ではあると思う。
興味があるならば読んでみても、という本だろう。
ちなみに、フィラリアのことを南の島の風土病として描いているところから見ると、戦前の和歌山にはこの病気はなかったのだろうか。