2006-01-01から1年間の記事一覧

『ミッション・スクール あこがれの園』

佐藤八寿子 著 中公新書 ISBN4-12-101864-8 近代日本におけるミッション・スクールというイメージの成立とその変容を追った本。 余り質が良いとは思わないが、ありがちな教育社会史の一研究だといえばそういうものではあるので、そうしたもので良ければ読ん…

『性と暴力のアメリカ 理念先行国家の矛盾と苦悶』

鈴木透 著 中公新書 ISBN4-12-101863-X 性と暴力という観点からアメリカ社会を論じた本。 全体としてのテーマは必ずしもはっきりとはしない、要するにぐだぐだとしたいつものよくある人文系社会評論、だが、よくあるぐだぐだとしたものに慣れ過ぎてしまった…

『入門!論理学』

野矢茂樹 著 中公新書 ISBN4-12-101862-1 論理学についての入門読み物。 光文社新書みたいな初級者向けの入門書なので、入門書が読みたいという人には、良い本ではないだろうか。 幅広く何でも扱っているというのではなく、主に命題論理と述語論理の公理系に…

『好かれる方法 戦略的PRの発想』

矢島尚 著 新潮新書 ISBN4-10-610184-X PRをPRした本 PR会社の社長をしてきた著者の経験を元に、PRについてそのさわりを軽く紹介したもので、私としては軽すぎてたいした中身がないとは感じたが、新潮新書らしい軽く読み捨てられる一冊だといえばそ…

非ミドルクラスの、上昇願望を持たない生活態度は、それを日常の称揚と見るならば、負け組や格差拡大などといって潰してしまうのは惜しいのかもしれない。エリートが営むエリートの生活を守るための自由ではなく、普通の人が営む普通の生活を守るための自由…

つまり、

カミカゼアタックは、暴力を以って西洋に対峙した時の、ありがちな対応なのだろう。けだし、世俗的な価値に対峙するためには、それを越えた価値が説かれねばならないし、世俗的な価値である富も快楽も、命を失っては享受することはできないので、命を失って…

『反西洋思想』

イアン・ブルマ/アヴィシャイ・マルガリート 著 堀田江理 訳 新潮新書 ISBN4-10-610182-3 反西洋主義的な思想は広く普遍的に存在する、ということが説かれた本。 そこそこ面白いとは思うが、テーマや内容はせいぜい50pくらいの雑誌論文に相応しい程度のも…

『巨人軍タブー事件史』

別冊宝島編集部 編 宝島社文庫 ISBN4-7966-5450-X 巨人軍のスキャンダルに関していくつかのことが描かれた雑録読み物。 別冊宝島からの文庫落ち、ということで、そうした類の雑録読み物と考えてほぼ間違いないが、竜頭蛇尾というか、タイトルだけというか、…

『勝負勘』

岡部幸雄 著 角川oneテーマ21 ISBN4-04-710060-9 岡部幸雄元騎手によるエッセイ。 内容的にも、取捨選択の上でも、岡部幸雄のエッセイ、の一言で示される本で、それで良ければ読んでみても、というものか。 特に取り立てて、という程のものではないが、読…

『論文捏造』

村松秀 著 中公新書ラクレ ISBN4-12-150226-4 ベル研究所のシェーンが行った論文データの捏造事件を追ったノンフィクション。 評価としては、ノンフィクション部分は、割と普通のノンフィクションで、それなりによくできていると思うが、論文捏造に対してど…

『百姓から見た戦国大名』

黒田基樹 著 ちくま新書 ISBN4-480-06313-7 戦国時代の社会に関して、やや思弁的に述べられた本。 戦国社会研究のまとめ、と考えれば、一応は大体そういうものなので、そういうもので良ければ読んでみても、という本か。 それなりに面白いので、やや頭でっか…

『昆虫−驚異の微小脳』

水波誠 著 中公新書 ISBN4-12-101860-5 昆虫の神経ネットワークに関していくつかのことが書かれた本。 内容的には、主に、視覚等の感覚情報がニューロンのネットワークにおいてどのように処理されているのか、ということが書かれたもので、大体のところ、半…

『事故と心理 なぜ事故に好かれてしまうのか』

吉田信彌 著 中公新書 ISBN4- 交通事故と人間行動の関連を研究する交通心理学に関して、いくつかのことが書かれた本。 概説というよりは訓詁趣味、といった感じの説明がネチネチダラダラと続く本で、良くいえば、エッセイ的な雑学読み物といえば、雑学読み物…

『中東イスラーム民族史 競合するアラブ、イラン、トルコ』

宮田律 著 中公新書 ISBN4-12-101858-3 アラブ、イラン、トルコの3民族を軸に、中近東の歴史を追った本。 基本的に、かなりだらだらと、中近東の歴史をゆるーく述べた本で、どのくらい緩いかというと、世界史の教科書か参考書を読んでいるような、という感…

『光化学の驚異 日本がリードする「次世代技術」の最前線』

光化学協会 編 講談社ブルーバックス ISBN4-06-257527-2 光化学に関しての研究成果が紹介されたアンソロジー。 どちらかといえば、光化学そのものというより、光化学を使った応用工学、という面が強いが、別に悪い本ではないので、そうしたものが概説された…

『誰が本当の発明者か 発明をめぐる栄光と挫折の物語』

志村幸雄 著 講談社ブルーバックス ISBN4-06-257525-6 いくつかの発明について書かれた雑学本。 一応、タイトルにもなっているように、発明における競合者との先陣争いを主軸にしたものだが、選択にあたっては、様々な発明についての雑学本、と考えて間違い…

『芸術とスキャンダルの間 戦後美術事件史』

大島一洋 著 講談社現代新書 ISBN4-06-149854-1 贋作や盗難等、戦後日本で起こった美術事件について書かれた事件簿。 戦後日本で起こった美術事件についての雑学本、と考えて完全に間違いがない。特別ではないが別にそれなりの雑学本か。レベル的に週刊誌の…

男子誕生によって次々世代天皇の筆頭候補を得た秋篠宮家の短期間でのイメージアップ振りには、驚くものがある。 友人をこづいたなんていう、こう書くと全然微笑ましくはないエピソードさえもがほのぼのと紹介されてしまうくらいで、天皇家が国民の欲望をトレ…

『漢字伝来』

大島正二 著 岩波新書 ISBN4-00-431031-8 古代日本における漢字の受容史について書かれた本。 トータルでみて、私には何だがよく分からない本ではあったが、漢字の受容史を綴った本だといえば、そういうものか。 ただの通史とはいえ全体的に何をいわんとして…

『家族のための<認知症>入門』

中島健二 著 PHP新書 ISBN4-569-65463-0 主として患者の家族向けに書かれた、認知症についての入門読み物。 認知症介護のための実用書と、認知症に関する一般向け家庭医学書との中間辺りに位置するような本で、やや虻蜂取らずという感はあるが、それなり…

『これも経済学だ!』

中島隆信 著 ちくま新書 ISBN4-480-06314-5 割と普通の経済学エッセイ。 ありがち、といっては言葉が悪いが、しかし、別に普通にありそうな経済学エッセイ。特に悪いということはなく、それなりのエッセイだと思うので、興味があるならば読んでみても、とい…

『ローマの起源 神話と伝承、そして考古学』

アレクサンドル・グランダッジ 著 北野徹 訳 白水社文庫クセジュ ISBN4-560-50902-6 創世期のローマについて書かれた概説書的な本。 基本的に、クセジュらしい無味な概説で、かなり細かいことが書かれているので、結構前提知識がないと辛い、という本か。個…

『科学捜査の現場 体毛が語る「人と事件」』

須藤武雄 著 日本文芸社パンドラ新書 ISBN4-537-25408-4 毛髪の鑑識技術者であった著者が頭髪や陰毛に関して書いたエッセイ。 半分は、鑑識技術者としての経験を綴ったお仕事系のエッセイ、半分は、毛髪に関しての雑学本。両者は密接に関連しているので、別…

『物語 現代経済学 多様な経済思想の世界へ』

根井雅弘 著 中公新書 ISBN4-12-101853-2 何人かの経済学説史上の経済学者たちに関して書かれたコラム集。 個々の部分でも、全体でも、何がいいたかったのか私には余りよく分からなかったが、良くいえば、ファンが読むようなコラム集ではある。 だから、多分…

『生体電気信号とはなにか 神経とシナプスの科学』

杉晴夫 著 講談社ブルーバックス ISBN4-06-257523-X 神経繊維やシナプスにおいて、その興奮(活動電位)がどのように伝わっていくのかが書かれた本。 割と重厚というか、中身の詰まった、一冊ほぼ全部を使って興奮の伝わり方を解説した本なので、個人的には…

少し前に私の勤めている会社で人員の中途募集をしていたのだが、応募してきた人の中に一人、すさまじい人がいた。 面接の会議室に連れて行く段階で、ああこの人は合格だな、と分かるような感じの人。 なんだろう。何が違うのだろう。人物としての出来が違う…

『憲法「押しつけ」論の幻』

小西豊治 著 講談社現代新書 ISBN4-06-149850-9 日本国憲法成立史の一断面を描いた本。 明治憲法制定前の植木枝盛の憲法草案が、敗戦直後に高野岩三郎や室伏高信らが植木を研究していた鈴木安蔵を入れて作った憲法研究会の手になる憲法草案要綱を通して、間…

どう見ても松下丸パクリのパロマのテレビ告知は、あざと過ぎてかえって評判を落としていそうなのだが、そうでもないのだろうか。 専門家がついているだろうから、その辺も考えてあるのだろうが。 それとも、飴玉をしゃぶらせればマスコミは黙る、という判断…

ちなみに、

素数ゼミの理屈に従うならば、系統抽出における間隔は、素数であることが望ましい、のだろうか。

『「風が吹けば桶屋が儲かる」のは0.8%!? 身近なケースで学ぶ確率・統計』

丸山健夫 著 PHP新書 ISBN4-569-65432-0 確率・統計についての入門読み物。 なんだか光文社新書みたいなタイトルの本だが、実際、光文社新書みたいな入門読み物ではある。なるほど、こういうタイトルはこういう中身だから付けられるのだろうか。 若干問題…