『物語 現代経済学 多様な経済思想の世界へ』

根井雅弘 著
中公新書
ISBN4-12-101853-2
何人かの経済学説史上の経済学者たちに関して書かれたコラム集。
個々の部分でも、全体でも、何がいいたかったのか私には余りよく分からなかったが、良くいえば、ファンが読むようなコラム集ではある。
だから、多分ファンになれる人には面白いのだろう。面白い人には面白いのだろうから、それで良ければ読んでみても、という本。私にはよく分からなかったが。
私としては、本書の全体的なモチーフとして、自分とは異なる見方、異端を大切にしろ、ということが主張されているのだが、現在主流派の最右翼にいる人、あるいは昔も今も非主流派に属する人がこういうのなら、それなりに説得力もあるだろうが、過去においては主流派だったのに現在は非主流派に転落した人、がこのように主張しても、すんなりとは受け入れられないのではないかと、何よりも第一にそのように感じる。
(必ずしも、著者が本当にそういう境涯にあるかどうかは知らないが。年齢を考えれば、仮にそういう境涯にあったとしても、主流派であった時間はそんなに長くないだろうし。しかし比喩的な意味としては、そういうことがいえると思う。つまりぶっちゃけ、お前らそのまま主流派なら異端なんて無視してたんちゃうん、ということだ)
やや内輪(=経済学を勉強している人)向けに書かれている部分もあるように思うし、一般向けに良い本だとは余りいえないと思う。