2005-01-01から1年間の記事一覧

『ジャンヌ・ダルク 歴史を生き続ける「聖女」』

高山一彦 著 岩波新書 ISBN4-00-430968-9 ジャンヌ・ダルクに関していくつかのことが書かれた本。 ジャンヌの生涯とその後の研究の歴史を断片的にいくつか描いたもので、良くいえば、ジャンヌ研究史序説、とでもいった感じの本にはなるのだろうが、200ペ…

デフレの象徴、といえば、半額バーガーだが、では何故、半額になる前のハンバーガーは「倍額」バーガーだったのだろうか。 ということを考えてみるに、以前のハンバーガーは、日本において、西洋化(アメリカ化)、近代化の象徴であり、アメリカ的、近代的な…

『<鬼子>たちの肖像 中国人が描いた日本人』

武田雅哉 著 中公新書 ISBN4-12-101815-X 清朝末期の画像メディアで日本や日本人がどのように描かれたか、ということについて書かれた本。 本としては特に大きな欠点がある訳ではなく、可もなく不可もなくといった感じのものだが、内容的には、要するにそれ…

『西太后 大清帝国最後の光芒』

加藤徹 著 中公新書 ISBN4-12-101812-5 西太后に関する伝記的な雑学本。 本格的な評伝というより、西太后に関して書かれた雑学本、と考えておいた方が、多分間違いはない。 そうしたもので良ければ、読んでみても、という本。 若干の問題点もなくはないが(…

『手術を受ける前に読む本 これだけは知っておきたい基礎知識』

佐久間哲志 著 講談社ブルーバックス ISBN4-06-257495-0 タイトル通り、手術を受けるためのガイドブック。 全体的に一通りのガイドブックで、特に難しい部分もなくすっきりとまとめられているので、悪くない本だと思う。 個人的にはそんなに大したことが書か…

『「戦争学」概論』

黒野耐 著 講談社現代新書 ISBN4-06-149807-X 地政学と近現代の軍事史に関する概説本。 かなり大雑把で、保守強硬論的な色彩の強い、一通りのまとめ、といった感じの本。 そうしたもので良いのなら、私はこれで絶対に駄目だとはいわないが、特に良い本でもな…

『議論のウソ』

小笠原喜康 著 講談社現代新書 ISBN4-06-149806-1 巷にあるいくつかの言説を批判的に検討したコラム集。 一応、主題的にはクリティカルシンキング系の本で、クリティカルシンキングの実例を紹介したもの、というところなのだろうが、実質的には、ほぼコラム…

『下流社会 新たな階層集団の出現』

三浦展 著 光文社新書 ISBN4-334-03321-0 現在日本の下流階層の人たちがどんな人々であるかをアンケート調査から探った本。 全体的に、アンケート調査を話のネタに好き勝手なことをがたがたといっている本だと考えておけば、間違いはない。ありがちなマーケ…

『暗証番号はなぜ4桁なのか? セキュリティを本質から理解する』

岡嶋裕史 著 光文社新書 ISBN4-334-3323-7 情報セキュリティに関する入門的な読み物。 別にそんなに大したことが書かれているのでもないが、読み物っぽくなっているので、読みやすいといえば読みやすい本か。 入門書で良いというのなら、読みやすくはあるの…

『行動分析学入門 ヒトの行動の思いがけない理由』

杉山尚子 著 集英社新書 ISBN4-08-720307-7 スキナーが創始した行動分析学に関する入門書。 要するに、スキナー流の心理学の入門書、と考えておけば良い。 行動随伴性(行動とその行動がもたらした効果によって環境等が変化することとの関係性)というただ一…

『満鉄調査部 「元祖シンクタンク」の誕生と崩壊』

小林英夫 著 平凡社新書 ISBN4-582-85289-0 満鉄調査部についての概史。 通史といえば一応は通史だが、記述的には、誰がどの役職に就いたとか何年に何を出版したとかどの部署がどう改組されたとかいう年表的な概略記事ばかりがメインで、どうも、表層的な事…

『ザ・フェミニズム』

上野千鶴子・小倉千加子 著 ちくま文庫 ISBN4-480-42149-1 上野千鶴子と小倉千加子の対談。 別に普通にありがちな対談という以上のものはなく、基本的にはファンが読んで楽しむような本だろう。入門的なものは期待できない。 そうしたもので良ければ、読んで…

しかし、ひとたび敗れた理論を再構築するというのは、非常に難しいことである

ということが分かった。 敗れた理論を再構築するには、非常に重い立証責任を伴うのだ。 実際問題として、ある理論が敗れる前は、立証責任が完全に理論の提唱者に求められている訳ではない。 極めて単純化していうと、ある理論が敗れる前は、その理論が失敗す…

『「資本」論 取引する身体/取引される身体』

稲葉振一郎 著 ちくま新書 ISBN4-480-06264-5 マルクス主義の再構築を目指したような感じの思弁的な社会思想論。 208ページまでは真面目に読んだ。それ以降は、殆どよく分からなかった。というよりも、分かろうとする気力が失せた、というところか。 好意的…

たとえ客観的に見て、どんなに実力不足で、勝てる可能性に乏しいとしても、出場する以上は、応援する方としては主観的に見て一縷の期待を持つものだろう。 単に応援するだけでもそうだろうし、ましてや活動資金を出しているとなれば、尚更である。 映画や漫…

『刀狩り 武器を封印した民衆』

藤木久志 著 岩波新書 ISBN4-00-430965-4 近世近代における日本人の武器保有について書かれた本。 内容的には、豊臣秀吉が行った刀狩りは、武士と百姓の身分差をはっきりさせることが目的で、民衆から武器を取り上げたものではなかった、日本人が武器を持た…

小沢一郎をまた民主党の幹部にしよう、というのは、よく分からない(断られたが)。 この前の選挙で民主党が大敗したのは郵政民営化法案を傍観したことに決定的な要因があるのは疑いのないところだが、普通に考えれば、何故郵政民営化法案を傍観したのかとい…

『戦国時代の終焉 「北条の夢」と秀吉の天下統一』

斎藤慎一 著 中公新書 ISBN4-12-101809-5 本能寺の変から小田原の陣直前までの北関東の政治史を語った本。 北条軍と反北条の佐竹・宇都宮等が対陣した沼尻の合戦を中心に、その前後の北関東の情勢を、豊臣秀吉や徳川家康の動きと絡めて描いた歴史読み物。タ…

『闘えない軍隊 肥大化する自衛隊の苦悶』

半田滋 著 講談社+α新書 ISBN4-06-272331-X 自衛隊の海外派遣を巡るドタバタ振りをいくつか描いた本。 それ程たいしたことが書かれているのでもないが、それなりの読み物といえば読み物という本か。改憲反対、という通奏低音が結構うざいので、私には余り好…

『犯罪は「この場所」で起こる』

小宮信夫 著 光文社新書 ISBN4-334-03319-9 犯罪社会学の入門的読み物。 主な内容としては、犯罪は、入りやすく、見られ難い場所で行われることが多いので、そのような場所を減らして犯罪の機会を少なくすることが重要だ、という話と、そうした考えに基づい…

『妖精のアイルランド 「取り替え子(チェンジリング)」の文学史』

下楠昌哉 著 平凡社新書 ISBN4-582-85286-6 アイルランド民話がアイルランド人文学者に与えた影響について書かれた本。 内容的には、アイルランドにおいて大英帝国からの独立、自治獲得を目指す民族主義的運動が盛んになっていた19世紀末から20世紀初頭…

『日本映画はアメリカでどう観られてきたか』 北野圭介 著 平凡社新書 ISBN4-582-85285-8 日本映画がアメリカでどのように紹介されたかを、日米関係の文脈の中で探った本。 私にはそれ程面白い本でもなかったが、特に悪いということでもないので、文化評論と…

『梶原一騎伝 夕やけを見ていた男』

斎藤貴男 著 文春文庫 ISBN4-16-744304-X 梶原一騎の評伝。 私には余り好きになれるタイプの本ではなかったが、全体的には普通の評伝だといえば普通の評伝なので、興味があるならば読んでみても、という本ではないだろうか。 薦めはしないが、特に悪いという…

『絵巻で読む中世』

五味文彦 著 ちくま学芸文庫 ISBN4-480-08933-0 院政時代の絵巻に関して書かれた読み物。 全体的に、好事家向けに書かれた別に普通にありそうな歴史読み物で、特別でもないがどこが悪いということもないので、面白いと思える人には、多分面白いのだろう。私…

挨拶

昼過ぎに出社した時の挨拶には、難しいものがある。 「おはようございます」という時間ではないし、「こんにちは」というのは、如何にも何か違うような感じがするのは、私だけだろうか。 「こんにちは」に何故違和感があるのか、と考えてみると、仕事は日が…

あるネタを思い付いたのだが、考えてみると、どうもそのネタはどこかで読んだことがあるような気がして、自分のオリジナルかどうか、自信がない。 どこかで読んだような気もするし、なかったような気もするし、単に自分が昔同じことを考えただけのような気も…

『戦争民営化 10兆円ビジネスの全貌』

松本利秋 著 祥伝社新書 ISBN4-396-11018-9 傭兵について書かれたリポート。 大体のところは、傭兵に関して一通り調べました、という感じのビジネスリポート、と考えておけば、ほぼ間違いない本だろう。それなりに興味深い部分もなくはないが、出来そのもの…

『僕の昭和史』

安岡章太郎 著 新潮文庫 ISBN4-10-113012-4 著者による半自伝的な同時代読み物。 特別ではないがどこが悪いということもない平均レベルの読み物で、三冊分、800ページあるから、暇潰しには、かなりなる、という本か。 暇潰し以上のものを求めると辛いところ…

『戦後和解 日本は<過去>から解き放たれるのか』

小菅信子 著 中公新書 ISBN4-12-101804-4 戦後和解について書かれた本。 全体的なテーマは、ありそうではあるが、細かい部分までは妙に判然としない。 その原因として考えられるのは、一つには、本書には論証が決定的に欠けている。何かを主張するために何か…

『女帝の古代史』

成清弘和 著 講談社現代新書 ISBN4-06-149794-4 女帝に関していろいろなことが書かれた本。 全体的なパースペクティブとしては、古代日本に女帝が数多く出たのは、双系的な社会構造の元で女性の地位が高かったからだ、ということが主張された本ではあるが、…