たとえ客観的に見て、どんなに実力不足で、勝てる可能性に乏しいとしても、出場する以上は、応援する方としては主観的に見て一縷の期待を持つものだろう。
単に応援するだけでもそうだろうし、ましてや活動資金を出しているとなれば、尚更である。
映画や漫画では、弱い選手やチームが、逆転優勝したり、勝てないまでも好勝負を繰り広げたりするのが定番であるが、人間、多少なりともそういう夢を持つことは当然であり仕方がないことであるように思われる。
しかし、創作物ならぬ現実の世界では、実力不足の者が勝つようなことは、大数の法則に従って圧倒的に少数であり、実力のない者はやっぱり負ける。
負けた理由はもちろん、実力不足、の一語に尽きる訳だが、さてその場合でも、「実力がありませんでした負けました」、で済むのだろうか。
自己ベストを出して予選落ちするオリンピック選手とか。地方予選の一回戦でコールド負けする高校の野球部とか。ダービーに出走した殿人気の馬とか。それでお金をもらっているプロの選手は特に、実力不足は言い訳にならないだろう。
いくら最初から分かっていたこととはいえ、出場する以上は期待をする訳で、負けた時にその期待をどう清算するのか、やり場のない怒りをどこに持っていくか、ということは、やっぱり、問題になるのではないだろうか。