『ジャンヌ・ダルク 歴史を生き続ける「聖女」』

高山一彦 著
岩波新書
ISBN4-00-430968-9
ジャンヌ・ダルクに関していくつかのことが書かれた本。
ジャンヌの生涯とその後の研究の歴史を断片的にいくつか描いたもので、良くいえば、ジャンヌ研究史序説、とでもいった感じの本にはなるのだろうが、200ページわずかの新書でそんなにたいそれたものができるはずはなく、どうも私には何だかよく分からない本ではあった。
結局のところ、ジャンヌに関して断片的にいくつかのことが書かれただけのまとまりのない本、になってしまっているのではないだろうか。あるいは、ファンが読むような類の読み物、と考えるのが、多分一番間違いが少ないだろうか。
そうしたもので良いというのなら、好事家には一種の雑学本として受け入れられる余地はあると思うが、私には余りぴんとこなかったので、薦めはしない。
しかし何が分からないといって、どうも私にはこの著者のジャンヌ観がよく分からないのだが、ひょっとしたら、真実、彼女が神の手で動かされていた、と考えているのだろうか?
(ジャンヌは20世紀初めに聖女に列せられているので、こういうのがカトリック教会の公式のジャンヌ観ではあるだろう)
だから、そういうジャンヌ観を持っている人には面白いのかもしれない。私はパス。