『「戦争学」概論』

黒野耐
講談社現代新書
ISBN4-06-149807-X
地政学と近現代の軍事史に関する概説本。
かなり大雑把で、保守強硬論的な色彩の強い、一通りのまとめ、といった感じの本。
そうしたもので良いのなら、私はこれで絶対に駄目だとはいわないが、特に良い本でもないのではないかと思う。一通りのまとめでしかない本で、雑な論理展開しかないのに、保守強硬論をごり押しされても、という感じ。
クラウゼヴィッツに対する批判(クラウゼヴィッツの『戦争論』は、戦争は政治の継続であるとしておきながら、実際には、様々な政治目的のために柔軟に設定されるべき軍事目標ではなく、敵戦力の殲滅を目指すナポレオン流の軍事技術しか展開しておらず、そのために、『戦争論』に学んだ将校達によって行われた両大戦が、敵戦力の殲滅を目指して大規模で悲惨なものになったのではないか、というもの)は面白かったが、後はそれほどでもないだろう。
それでも読みたければ止めはしないが、薦める程ではない。
ちなみに、小室直樹といっていることがかなり似通っているのは、影響受けまくりなんだろうか。