『日本映画はアメリカでどう観られてきたか』
北野圭介 著
平凡社新書
ISBN4-582-85285-8
日本映画がアメリカでどのように紹介されたかを、日米関係の文脈の中で探った本。
私にはそれ程面白い本でもなかったが、特に悪いということでもないので、文化評論としては、多分それなりの本ではないだろうか。私は、映画が好きでもないし、映画評論を読んだことも殆どないので、余りよくは分からないが。
私が受けた印象では、日米関係の中で映画を論じるという本書のパースペクティブが、焦点が狭すぎて雑学本としては必要な遊びに欠けるし、その割に踏み込んだテーマ設定があるのでもなく、大風呂敷を広げただけという感じがややあるようには思われる。
ただ、それで特別酷いという程ではないし、他の映画評論がどういうことをいっているのか私は知らないので、こんなものではあるのかもしれず、興味があるなら読んでみても、というところではないのだろうかと思う。映画評論をよく読む人とかには、それなりの本ではあるのかもしれない。
特に面白い訳でもなかったが、別に駄目という程でもない本。読んでみたいのならば、読んでみても、というところだろう。
メモ1点。
・60年代のアメリカにとって日本は、非西欧諸国が共産主義によらなくてもこのように近代化が可能なのだ、という展示見本としての役割を持っていた。