2010-01-01から1年間の記事一覧

『質量はどのように生まれるのか 素粒子物理最大のミステリーに迫る』

橋本省二 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257680-2 質量がどのように生まれるかについて書かれた本。 全体に、素粒子物理学のものとしては標準的な一般向け解説書、という本か。特別でもないが悪くもなく。質量がどのように生まれるかについて書かれ…

『冬眠の謎を解く』

近藤宣昭 著 岩波新書 ISBN978-4-00-431244-4 冬眠に関して研究してきた著者の研究生活を総括した本。 内容をともかくとすれば、著者がこれまで行ってきた研究の方法や内容がよくまとまっているし、現在判明していることから著者が想定する大胆な提唱もなさ…

『村人の城・戦国大名の城 北条氏照の領国支配と城郭』

中田正光 著 洋泉社・歴史新書y ISBN978-4-86248-545-8 北条氏照が拠点とした城やその城を中心に行った領国支配に関して書かれた本。 特にテーマもない漫然としたコラムで、内容そのものもかなり好事家向けのニッチなものではあるが、それにもまして分かり…

『刑事魂』

萩生田勝 著 ちくま新書 ISBN978-4-480-06543-8 元刑事が書いたエッセイ。 特にどうということもないエッセイで、良くいえば、こんなものだといえばこんなものだが、別にそれほど面白い訳でもないような気がした。 エッセイなので、合う人には合うのかもしれ…

『競争と公平感 市場経済の本当のメリット』

大竹文雄 著 中公新書 ISBN978-4-12-102045-1 経済学者が書いたコラム。 経済学の研究成果がいろいろと書かれていて面白い部分もあるが、全体的に、テーマもまとまりもない漫然としたコラム、のように個人的には感じた。 雑誌等に書いたコラムを集めたもので…

『量子重力理論とはなにか 二重相対論からかいま見る究極の時空理論』

竹内薫 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257675-8 量子重力理論において必要となる時空の量子化について数学的に説明した本。 内容は私にはほとんど理解できなかったが、多分そういう本だろう。 基本的に、行列の対角化くらいはできる人向け。それ以上…

『マインドマップ デザイン思考の仕事術』

木全賢/松岡克政 著 PHP新書 ISBN978-4-569-77111-3 マインドマップやデザイン思考について書かれた本。 個々の部分では興味深いことも書かれているが、全体的に、ごちゃごちゃとしていて分かりにくいと思った。『誰に』対して『何を』伝えるのか、が巧…

『昭和出版残侠伝』

嵐山光三郎 著 ちくま文庫 ISBN978-4-480-42686-4 著者が平凡社を退社してから新雑誌『DoLiVeドリブ』を立ち上げた頃までを描いたエッセイ。 エッセイというか、フィクション風ノンフィクションというか。内容云々というよりは、軽快な文章を楽しむ本だと思…

『使える武術』

長野峻也 著 ちくま新書 ISBN978-4-480-06537-7 武術に関して書かれたエッセイ。 入門書というよりは、エッセイと考えておいた方が良いと思う。興味があってエッセイで良ければ、という本か。 オカルト的な面はあるが、一応、合理的に考えようという姿勢は認…

『平安朝の父と子 貴族と庶民の家と養育』

服部早苗 著 中公新書 ISBN978-4-12-102044-4 物語や平安中期の貴族の日記等から、その時代の父と子の関係を探った本。 特別に良い本ではないと思うが、一つの研究としてはそれなりの一冊、という本か。それで良ければ、というところ。 欠点としては、フェミ…

『ニューギニア大密林に死す 前人未踏の熱帯雨林六百キロの撤退路』

植松仁作 著 光人社NF文庫 ISBN978-4-7698-2636-1 敗色濃厚な中、ジャングル奥地へ転進した時の状況を綴った戦記。 戦記といっても、戦闘はほとんどなく、その他のエピソードもあまり豊富ではなくて、どこそこへ向かって歩いた、という話がメイン。食料が…

『中世を道から読む』

齋藤慎一 著 講談社現代新書 ISBN978-4-06-288040-4 中世(主に室町から戦国時代にかけて)の関東の街道に関していくつかのことが書かれた本。 基本的には、歴史の細かいことをぐだぐだとやった本で、これといったテーマはない。歴史の面白さとはこういう細…

『リスク・リテラシーが身につく統計的思考法 初歩からベイズ推定まで』

ゲルト・ギーゲレンツァー 著/吉田利子 訳 ハヤカワ文庫NF ISBN978-4-15-050363-5 リスクの伝え方に関して書かれた本。 基本的には、確率ではなくて自然頻度(何回やったら何回そうなる、というような)を使え、ということが主張された本で、文庫本で400…

『マネーロンダリング 国境を越えた闇金融ヤクザ資金』

平尾武史・村井正美 著 新潮文庫 ISBN978-4-10-130191-4 闇金融で上げた違法収益が海外へ送金されていた事件に関して書かれたノンフィクション。 新聞記者が書いたノンフィクションで、ノンフィクションものとしては、特に優れた訳ではないとしもそれなりの…

『昭和東京ものがたり1』

山本七平 著 日経ビジネス人文庫 ISBN978-4-532-19531-1 山本七平が、子供の頃だった昭和初期の東京周辺の生活振りを語ったエッセイ。 全体的には、子供時代の思い出を語った特にどうということもないエッセイ。エッセイだから合う人には合うのだろうし、興…

『清水次郎長 幕末維新と博徒の世界』

高橋敏 著 岩波新書 ISBN978-4-00-431229-1 清水次郎長の伝記。 大体のところは新書レベルの普通の伝記だが、赤報隊入りした黒駒勝蔵等、佐幕派、尊攘派の双方からその戦闘力を期待され(維新後には邪魔になっ)た博徒たちの明治維新における動向が描かれて…

『医薬品クライシス 78兆円市場の激震』

佐藤健太郎 著 新潮新書 ISBN978-4-10-610348-3 医薬品の開発研究者であった著者が、医薬開発を巡る業界のありさまなどについて書いた本。 タイトルはクライシスとなっているが、業界の危機について書かれているのは第五章だけで、別段たいした分析もなされ…

『防衛破綻 「ガラパゴス化」する自衛隊装備』

清谷信一 著 中公新書ラクレ ISBN978-4-12-150338-1 自衛隊装備のデタラメさを批判した本。 内容の当否についてはともかく、いろいろと書かれていて私には面白かった。批判本で良ければ、読んでみても良い本だと思う。 単なる天下り批判に過ぎないような部分…

『あなたがお金で損をする本当の理由』

長瀬勝彦 著 日経ビジネス人文庫 ISBN978-4-532-19524-3 消費と投資における賢いお金の使い方について書かれた読み物。 別にたいしたことは書かれていないと思ったが、その分、軽く読める読み物ではある。そうした読み物で良ければ、という本か。 行動経済学…

『感染症の中国史 公衆衛生と東アジア』

飯島渉 著 中公新書 ISBN978-4-12-102034-5 近代中国(及び台湾)における感染症の歴史について、いくつかのことが書かれた本。 アジェンダ(問題設定)としては面白いが、余りまとまりが良くなく、いくつかのことがバラバラに書かれているだけ、という印象…

『老化はなぜ進むのか 遺伝子レベルで解明された巧妙なメカニズム』

近藤祥司 著 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257662-8 老化研究に関する現時点のまとめ。 ちらかったままのまとめではあるが、まとめはまとめなので、そうしたもので良ければ読んでみても、という本か。老化研究の知識をアップデートしたい、というよう…

『戦場のハローワーク』

加藤健二郎 著 講談社文庫 ISBN978-4-06-276524-4 戦場ジャーナリストが書いたエッセイ。 一応、自分の経験を元にノウハウや戦場ジャーナリストのなり方などを記述した本だが、本人が戦場ジャーナリストをなんとなく続けていると書いているくらいだから、割…

『歴史入門』

フェルナン・ブローデル 著/金塚貞文 訳 中公文庫 ISBN978-4-12-205231-4 ブローデルが講演を元にまとめた本。 『物質文明・経済・資本主義』のアンチョコ本、といえばアンチョコ本だが、多分余りそういう風には考えない方が良いと思う。私は読んだことがな…