『リスク・リテラシーが身につく統計的思考法 初歩からベイズ推定まで』

ゲルト・ギーゲレンツァー 著/吉田利子
ハヤカワ文庫NF
ISBN978-4-15-050363-5
リスクの伝え方に関して書かれた本。
基本的には、確率ではなくて自然頻度(何回やったら何回そうなる、というような)を使え、ということが主張された本で、文庫本で400ページ近くあるのでいろいろ書かれていて楽しいが、いろいろ書かれていても基本的な主張はこの簡単なものしかないから、ややもすればだらだらとまわりくどい本ではある。
いろいろ書かれてはいるので、そうしたもので良ければ読んでみても、という本か。
実際問題として、私としてはこの半分のページ数で十分だろうとは思った。あれこれと書かれているし、それがいらないというほどつまらない話ではないのだが、ちょっとだらける。
こういうのを、いろいろ書かれていて楽しいと思える人向き。
そうしたもので良ければ、読んでみても良い本だろう。

以下メモ。
・売上が100万ドルから50万ドルに減ってその後80万ドルまで持ち直したなら、この数字を正直に言うのではなく、売上は50%減った後60%上昇した、と言えば良い。
・ピルを服用していると、血栓ができるリスクが、一万四千人あたり一人から一万四千人あたり二人に上昇する。つまりピルによって血栓のリスクが二倍になる。
(著者は、夫がタバコを吸う非喫煙者の妻は夫がタバコを吸わない非喫煙者の妻よりも二倍も肺がんが多い、という研究結果を紹介しているが、これはわざと自然頻度を使っていないのだろうか?)