『平安朝の父と子 貴族と庶民の家と養育』

服部早苗 著
中公新書
ISBN978-4-12-102044-4
物語や平安中期の貴族の日記等から、その時代の父と子の関係を探った本。
特別に良い本ではないと思うが、一つの研究としてはそれなりの一冊、という本か。それで良ければ、というところ。
欠点としては、フェミ臭さがあること、風俗以外のものもひっくるめて、まず中央の貴族で成立しその後庶民に広がった、という史観になっているのが、個人的に好きになれないこと、本書の大体のテーマとしては、平安期に妻と夫が同居する慣習が広がって、父が子に家業を伝達するようになり、イエや父権が成立した、という流れになっているのに、平安期に同居の慣習が広がったということの考察が丸々抜けていること(三部作の最後の一冊ということなので、他でやっているのかもしれないが)。天皇の娘に対し借り腹云々はどうなんだろうなあという気がする。
後は、一つの研究としては、それなりの本、というところか。
特別良くもないが、それなりといえばそれなり。
興味があるならば読んでみても、という本だろう。