『防衛破綻 「ガラパゴス化」する自衛隊装備』

清谷信一
中公新書ラクレ
ISBN978-4-12-150338-1
自衛隊装備のデタラメさを批判した本。
内容の当否についてはともかく、いろいろと書かれていて私には面白かった。批判本で良ければ、読んでみても良い本だと思う。
単なる天下り批判に過ぎないような部分もあるし、兵器の良し悪しは結局のところ戦ってみなければ分からない訳で、どうせ戦わないのなら張子の虎で良いという考えもあり得るだろうから、著者の批判がどこまで当たっているかは、私には分からない。
批判本としては、いろいろ書かれていてまずまずの本だろうと思う。
そうしたもので良ければ、読んでみても良い本だろう。

以下メモ。
自衛隊ではセーターなども支給されていないが、ハーグ陸戦条約で戦闘員はそろった制服を着用することが義務付けられているのに、セーターの必要な時期に自衛隊員はどうやって戦うのだろうか。
・日本では外国船籍の船や外国人船員が増えたため、シーレーンを守るなどといっても、そもそも戦時に必要なだけの海運が確保できるかどうか分からない。
自衛隊の装備調達では、いつまでにいくつそろえるか、ということが事実上決定されておらず、このことが装備品の高騰を招いている。兵器を輸入する場合、アメリカとNATO諸国との間でも、何らかの見返りを要求するのが常だが(オフセット取引)、総額が決まらない日本の調達では、取引のやりようがない。
・無線機は性能が悪く、数も少ないため、現場の自衛官は私物の携帯電話で連絡を取り合う。
・P−3Cのソノブイは国産だが、リムパックの時には米国製のものを使っている。国産品ではアメリカの原潜を探知できないのだろう。