『宇宙は無数にあるのか』

佐藤勝彦
集英社新書
ISBN978-4-08-720694-4
人間原理に関して書かれた宇宙論の読み物。
宇宙を支配する物理法則や定数が人間を生み出すのに都合よく微調整されているという問題は、マルチバースを考えれば、多くの宇宙の中でたまたま人間に都合のいい宇宙だけが観測されたからそうなっているのだ、という人間原理によって説明できるかもしれないが、著者は物理法則をそのような位置に貶めるのは反対だ、という本なので、マルチバースというよりは人間原理に関して書かれたもの、と考えるのがいい。
そうした宇宙論読み物でよければ、という本か。
それでいいという人向け。
私は嫌いではないが、著者自身が、現状ではよく分かっていないけど反対だ、としかいえないものを、わざわざ読んでみる価値がどの程度あるかは疑問をさしはさむ余地があるだろう。
特別に薦めるほどでもない。
後は、そうしたものでよければ、という本だろう。