『不屈の棋士』

大川慎太郎 著
講談社現代新書
ISBN978-4-06-28378-8
コンピュータ将棋ソフトについて将棋棋士十一人に聞き取りしたインタビュー集。
企画内容的には、個人的に想定したそのままズバリの内容で、面白かったし文句をいうようなことはまったくないが、全員せせこましく眼前の問題に忙殺されるだけで、大局観は誰もあまり持っていない印象だった。
コンピュータが人間を凌駕してその後どうなるのか、といったようなことは、実際にも聞かれてはいるが、そこまでは誰も分かっていないのだろう。
まあ確かに、棋士だからといって三年後や五年後が分かるわけはないよな。
だから、現在棋士の眼前にある問題について興味があるならばよい本。
それ以上の広がりというか深みは、あまり期待できないと思う。
みんな目の前のことに対処するのに必死だ、ということが分かっただけでもよいのかもしれないが。
そうしたものでよければ、読んでみてもという本だろう。