『曲線の秘密 自然に潜む数学の真理』

松下泰雄 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-257961-2
科学史の中で曲線に関連したことをいくつか描いた読み物。
ひとつの読み物といえば読み物かもしれないが、曲線の解説でもないし科学史の説明でもないし、個人的には微妙だった。
ケプラーの楕円軌道とかホイヘンスの等時性振り子とかフェルマーの最終定理とか、予めそういうものだと思って読めば違うのかもしれないので、それでよければ、という本か。
別に特に駄目というほどではない。
個人的に薦めるほどではないが、科学史に関連した読み物でよければというところだろう。
(著者名の泰は異字)
以下メモ。
ピタゴラスの定理を方程式で表すと、x^2+y^2=z^2 だが、X=x/z、Y=y/zとおくと、結局X^2+Y^2=1という単位円の式になる。
すなわち、単位円上のゼロではない有理数の点が、ピタゴラスの定理を満たす自然数の組になる。
・これを少し変えてやると、フェルマーの方程式を満たす自然数解は楕円曲線上の有理点となることが分かる。
・谷山-志村予想は楕円曲線がある性質を持つことを主張するが、nが5以上の奇数の素数のときにx^n+y^n=z^nを変換した有理数を変数とする楕円曲線はこの性質を持たない。
したがって、谷山-志村予想が正しいならば、この楕円曲線は存在せず、nが5以上の奇数の素数のときにフェルマーの方程式を満たす自然数の組は存在しないということになる。
(nが3の場合と4の場合にフェルマーの方程式を満たす自然数の解が存在しないことはすでに証明されており、nが5以上の自然数はすべて、奇数の素数であるか、奇数の素数または4の倍数なので、x^mp=(x^m)^pから、自然数の解を持たないことになる)