論証不足

『事大主義 日本・沖縄・朝鮮の「自虐と侮蔑」』
室井康成 著
中公新書
ISBN978-4-12-102535-7
事大主義という概念の歴史を追った本。
概念の変遷を見た本としてはいろいろ面白かったが、全体的に論証が気持ち悪く、お薦めするほどではなかった。
論証については、多分だが、予め決めてある流れに沿って置いてあるだけなのではないだろうか。それが決めつけになっていないという保証がないように思える。
私と見解が異なるからそう思えるだけかもしれないから、著者の見解を良しとする人にはいいのかもしれないが。
それで良ければ、というもの。
個人的には、あまり薦められる本ではなかった。

以下メモ。
・事大主義という言葉は、明治期の朝鮮政治家の一部を批判するものとして福沢諭吉あたりで作られた。
・それが、近代化の遅れた自立していない人を批判する用語として、日本人や沖縄県民向けに使われるようになった。
・朝鮮は明から冊封されたときに与えられた国号である。
チュチェ思想は反事大主義という性格のものである。