後はコンピューターが計算してくれる

『はじめての量子化学 量子力学が解き明かす化学の仕組み』
平山令明 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-515213-3
量子化学の初歩を紹介した本。
一応入門書ではあるが、有機化学量子力学について多少はかじったことのある人向け。それで良ければ、という本か。
私は量子化学の本は初めてだったので、興味深くは読めた。
やや宣伝くさい面はあるが――量子化学は役に立つとか――、悪い本ではないと思う。
ただし、内容については、後はコンピューターが計算してくれる、という以上のことは、あまりよく分からなかった。
そういうものなのだろうが。
だから特別とはいえないが、入門としてはこんなものなのだろう。
そうしたもので良ければ読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
波動方程式を解いて分子の電子軌道を求める。
軌道を見れば、反応しやすい場所などが分かる。
・電子はエネルギーの低いところから順に埋まっていくのが安定であり、通常電子が占めている軌道のうち最もエネルギーの高いもの(HOMO)と電子に占められていない最もエネルギーの低い軌道(LUMO)とのエネルギー差を持った振動数の光子が来ると、電子は光を吸収して軌道を変えるため、分子の色を予想することができる。
(吸収する光の補色になる)
・HOMOとLUMOがフロンティア軌道であり、分子の化学反応を考える上で重要になる。