こっちも同じ

坂本龍馬高杉晋作 「幕末志士」の実像と虚像』
一坂太郎 著
朝日新書
ISBN978-4-02-295099-4
二人の志士を中心に描いた幕末読み物。
似たような本を同じ時期に出せるくらいには、特に何もない軽い読み物。それで良ければという本か。
たまたま依頼が重なったのか、どっちかが遅れたのか、大河ドラマの便乗本かと思ったら大河は渋沢栄一だから少し違うが、便乗本のために同じ幕末本の予定をずらした可能性はあるかもしれない。
どっちか一冊というなら、『暗殺の幕末維新史』のほうがワンテーマでありつつも軽く読めていいが、著者のこだわりがありそうなのはこっちか。
ただし、現状そこまでの深みはない。
坂本龍馬高杉晋作にたいした共通点があるのでもなし。
その共通の構造が分かったら、いい本になるかもしれないが。
個人的には、二冊続けて読んで、司馬遼太郎史観、明治は良かったが昭和は駄目、をまだ自分が持っていたことを知れたので、意義はあった。日本刀で黒船に対抗しようという幕末攘夷の発想は、B29を竹やりでというのとまったく変わっていないよなあ。
維新の行き着く先に昭和があった。
両方読めというのも大変だが、片方ならありといえばありの読み物。
坂本龍馬高杉晋作のファンならこっちでいいかもしれない。
それで良ければ、という本だろう。